転換社債型新株予約権付社債とは?仕組みを紹介

転換社債型新株予約権付社債とは?仕組みを紹介

2023.10.24

転換社債型新株予約権付社債(CB)とはどのような債券なのか、特徴、発行企業や保有者のメリット、デメリットについて紹介します。



転換社債型新株予約権付社債とは?

転換社債型新株予約権付社債(CB)の概要

転換社債型新株予約権付社債(convertible bond。以下、CB)とは、企業が発行することができる債券の一つです。

発行時に決められた価格で株式に転換することができるものであり、利率や償還期限が決められています。

発行から一定期間経過後に、転換価格が引上げまたは引下げ調整の条項が付いたCBもあります。

CBは償還期限まで保有することができる社債の側面を持つ一方、償還前に株式に転換することもできるため、株式の側面もあると言えるでしょう。

「新株予約権付」という名称がついているのは、行使期間内であれば、決められた価格で株式に転換できる権利がついているためです。

2002年の商法改正以前は、「ワラント債」として新株予約権が社債から分離できる分離型と、分離できない非分離型があり、まとめて新株引受権付社債として扱われていました。

現在は統一され、従来のCBに加え、非分離型ワラント債を含んだ形で転換社債型新株予約権付社債(CB)として扱われています。

CBを満期まで保有する

CBを満期まで保有する場合は、社債としての権利を保持することから、一定期間ごとに決まったクーポン(利息)を受け取ることができます。

満期には社債を償還することになり、償還価格にて払い戻されることとなります。

仮に償還価格がCB購入価格よりも低かったとしても、クーポンを継続的に受け取ることによって、償還価格、購入価格、クーポンを加味して算出した最終利回りがプラスとなる場合もあるでしょう。

CBを満期前に株式に転換する

満期までの間に株式に転換する場合、それ以降はCB発行企業の株式として保有することとなります。

そのため、これまで受け取ることができた社債のクーポンを受け取ることができず、また社債額面が払い戻されることもありません。

発行時の社債としての権利から、転換により株式の権利を取得したこととなります。

転換以降は株式からの配当を受け取ったり、株式を市場で譲渡することにより、投資回収を行うこととなるでしょう。

発行企業の株価が上昇すれば、CBから株式への発行が進むことが一般的です。

そのため、保有者はCB発行企業の株価が上昇するかの見極めが大切であると言えます。

【保有者】転換社債型新株予約権付社債のメリット・デメリット

(メリット)CB保有か株式転換かの選択が可能である

保有者にとって最大のメリットは、CBを償還時までクーポンを受領しながら保有し続けるか、株式に転換するかの選択ができることでしょう。

発行時に決められた価格で株式に転換できるため、仮に購入時の価格よりも株価が上昇した場合、市場価格よりも安く株式を入手できることとなります。

逆に株価が下落した場合は、CBのまま保有をし続けておくことで、上昇のタイミングを見計らうことも可能ですし、償還まで保有しておくこともできます。

ただし、修正条項がついている場合には、予め決められた転換価格ではなく、株価に合わせて価格が上下に修正される場合もあるため、注意が必要です。

(メリット)市場で売買ができる

CBは市場価格で売買することにより、株式に転換することができますが、その際に手数料を支払う必要があります。

また、売り手は、前回の利払い時から売買時までの間に発生したクーポンを、経過利子として買い手から受け取ることができます。

ただし、CBを株式に転換できる期間が銘柄によって決まっているため、注意する必要があるでしょう。

(デメリット)普通社債と比べクーポンレートが低い

CBには株式に転換するか、保有し続けるかの選択肢があるため、普通社債と比べてクーポンレートが低く設定されています。

CBを償還時まで保有し続けた場合に、結果的に普通社債の方が最終利回りが良かったということも想定されます

(デメリット)価格変動があるため、リスクが発生する

CBを株式に転換したいと思ったタイミングで売買しても、価格変動があるため、想定価格で転換できない可能性もあります。

また、株価の価格連動性が高いCBにおいては、株価の上昇によりCBが評価されていて、高値が付いている場合があります。

安く購入して、高く売りたいのが投資家心理であるので、保有者としては株価とCBの価格の見極めも重要になるでしょう。

【企業】転換社債型新株予約権付社債のメリット・デメリット

(メリット)CB発行時に資金調達が可能である

CB発行時点では、将来の償還時に株式発行と社債がどれくらいの割合で保有されるかまだ分かりませんが、この段階で資金調達ができることです。

事業資金を急ぎ確保したい企業にとって、社債か新株発行かを明確に決めないで資金調達ができることは大きなメリットと言えるでしょう。

社債は将来的に全額償還が発生する一方で、株式に転換される可能性があるCBは、支出負担が軽減できる可能性を持っている有効的な手段といえます。

(デメリット)転換が進まなければ支払負担が増加する

企業の目論見としては、CB発行時に調達した資金により、業績を向上させ、株価が値上がりすることで、転換が進むものであると考えるでしょう。

しかしながら、市場環境や業績不振で株価が想定通りに上昇しない場合には、保有者の大半が株式への転換を行わずに、償還までCBを保有することも考えられます。

そうなると償還時に企業の支払負担が増加し、資金繰りの悪化が懸念される可能性もあるでしょう。

(デメリット)株式希薄化や大株主が発生する可能性がある

逆に株式への転換が進めば、新たに株式を保有する投資家が増えることとなります。

そのため、株式の希薄化が進むことも考えられるでしょう。

また、CBの発行数によっては、CBを大量購入し償還前にまとめて株式への転換を行い、突如企業側にとって望ましくない大株主が現れることも想定されます。

このように、CB発行時のメリットが大きい反面、発行後のデメリットにも注意する必要があります。

そもそも社債とは?

社債(普通社債)とは

CBについて触れてきましたが、そもそも社債はどういうものかについても触れておきます。

社債とは、企業が資金を調達する際に発行する債券のことであり、発行債券は投資家が購入することができます。

金融機関のような機関投資家に対して発行するものや、個人投資家が購入できるものも存在します。

社債は、企業が投資家からお金を借りる負債であるとイメージしやすいでしょう。

また、社債には償還期限があり、期限が到来したら投資家に対して資金を返済しなければなりません。

企業側における社債発行のメリットとデメリット

社債発行のメリットとして、企業においてはCBと違い、新株発行を伴わないため、希薄化や大株主の出現がないことでしょう。

デメリットは、償還時期には必ず返済しなければならず、支払い負担が増加することや、CBと比べクーポンレートが高いことです。

社債保有のリスク

社債を保有する投資家側のリスクとして、発行体の借金が増加するため、少なからず破綻リスクを伴うものであるという点です。

さらに、債券の流動性が低いことから、希望時期に売却や譲渡ができないことも考えられます。

まとめ

転換社債型新株予約権付社債(CB)について紹介しました。

CBは、株式と社債の双方の特性を持つことから、発行企業側、保有者側双方にメリット、デメリットが存在します。

発行体である企業においては将来のリスクを、保有者においては将来の企業価値を研究しながら投資検討することが求められるでしょう。

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画像出典元:O-DAN

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