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シードラウンドとは?事業の「仮説検証」を行うフェーズ
シードラウンドは、一般的に「プロトタイプやMVP(実用最小限の製品)が完成し、これから本格的に顧客検証を行う段階」での資金調達を指します。
投資家目線では、スタートアップの成長段階(投資ラウンド)は以下のように区分されます。
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プレシード(Pre-Seed): アイデア構想段階。創業メンバーのみの状態。
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シード(Seed): MVPがあり、顧客ニーズの検証を行う段階。 ←ここ!
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シリーズA: PMFを達成し、成長のために組織を拡大する段階。
シードラウンドで調達した資金は、主に「PMF(プロダクト・マーケット・フィット)の達成」のために使われます。具体的には、初期プロダクトの開発費、検証を行うためのマーケティング費、そして初期コアメンバーの採用費などが主な使途です。
「シードステージ」と「シードラウンド」の違い
似た言葉に「シードステージ」がありますが、これは企業目線での成長段階(ステージ)を指す言葉です。対して「シードラウンド」は、投資家が投資を実行するタイミング(ラウンド)を指します。実務上はほぼ同じ意味で使われますが、資金調達の文脈では「ラウンド」という言葉が一般的です。
【2025年最新】シードラウンドの資金調達相場
数年前まで、シードラウンドといえば「数千万円」が相場でしたが、スタートアップ市場の成熟に伴い、調達金額は年々大型化しています。
調達金額:3,000万円〜1.5億円
2025年現在、シードラウンドの調達金額の目安は3,000万円〜1.5億円程度です。 特にディープテック(研究開発型)や、生成AI領域のスタートアップでは、シード段階から数億円規模の調達を行うケースも増えています。
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調達額の中央値: 約8,000万円前後
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調達期間: 3ヶ月〜6ヶ月
バリュエーション(企業価値):3億円〜10億円
投資家が算定する企業価値(バリュエーション)は、ポストマネー(調達後)評価額で3億円〜10億円程度が目安となります。 この段階では財務データ(売上実績)がまだ乏しいため、「チームの経歴」「市場の大きさ(TAM)」「プロダクトの優位性」などから将来価値が算出されます。
放出する株式比率:10%〜20%
シードラウンドで投資家に割り当てる株式の比率は、一般的に発行済株式総数の10%〜20%程度に抑えるのがセオリーです。 ここで20%以上(例えば30〜40%)を放出してしますと、次のシリーズA以降で創業者の持分が極端に減少し、経営のコントロールが難しくなるリスクがあるためです。
プレシード・シリーズAとの違い【比較表】
シードラウンドの位置付けを理解するために、前後のラウンドと比較してみましょう。
| 項目 | プレシード (Pre-Seed) | シード (Seed) | シリーズA (Series A) |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 起業準備、MVP開発 | PMF(市場適合)の検証 | 組織拡大、顧客獲得の加速 |
| 調達額の目安 | 500万〜3,000万円 | 3,000万〜1.5億円 | 3億円〜10億円 |
| 評価額(目安) | 〜2億円 | 3億円〜10億円 | 10億円〜30億円以上 |
| 主な投資家 | エンジェル、創業メンバー | VC、エンジェル、CVC | VC、CVC、事業会社 |
| 重視される点 | 起業家の熱意、市場選定 | 初期トラクション、チーム | 売上成長率、ユニットエコノミクス |
特に最近では、「プレシード」と「シード」が明確に分かれる傾向にあります。まだMVPがない段階なら「プレシード」、MVPがあり数値検証に入るなら「シード」と捉えると良いでしょう。
シードラウンドの主な資金調達先
シードラウンドで出資・融資を行うプレイヤーは主に以下の4つです。
1. ベンチャーキャピタル(VC)
シード期に特化したVC(シードVC)からの調達が最も一般的です。
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特徴: 資金だけでなく、事業戦略の壁打ちや採用支援(ハンズオン)を受けられることが多い。
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代表的なVC: Coral Capital, ANRI, Genesia Ventures, Incubate Fund, ほか独立系VC多数。
【2025年最新版】VC(ベンチャーキャピタル)一覧!シード向けや独立系VCを紹介
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2. エンジェル投資家
起業経験者や富裕層などの個人投資家です。
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特徴: VCよりも決断が早く、親身なメンタリングが期待できる。プレシード〜シードの前半で特に頼りになります。
【2025年版】エンジェル投資家とは?投資を受けるメリットと探し方、注意すべき裏の顔まで徹底解説!
3. 日本政策金融公庫(融資)
株式による調達(エクイティ)ではなく、借入(デット)による調達です。
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特徴: 「新創業融資制度」など、創業初期でも無担保・無保証で借りられる制度があります。株式の希薄化(シェア低下)を防げるため、VC調達と組み合わせて活用するのが王道です。
新創業融資制度とは?専門家に創業融資の審査ポイントや全貌を取材
4. J-KISS(投資手法としてのトレンド)
調達「先」ではありませんが、シード期の調達「手法」としてJ-KISS(日本版SAFE)が標準的になっています。 これは、厳密な株価決定を次のラウンド(シリーズAなど)まで先送りできる「新株予約権」を用いた投資契約です。
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メリット: 契約手続きが簡単で、登記費用も安く、スピーディに着金まで進めます。
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注意点: 投資家側への説明が必要な場合がありますが、2025年現在は多くのシードVCがこの方式を採用しています。
投資家が見ている審査ポイント
まだ売上が立っていないことも多いシードラウンドにおいて、投資家は何を見て投資判断をするのでしょうか?
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Founders Market Fit(創業者と市場の相性) 「なぜあなたがこの課題を解決するのか?」という原体験や、その領域に対する深い知見・ネットワークが重視されます。
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市場の大きさ(TAM) そのビジネスが成功した時、どれくらいの規模になるか。VCは大きなリターンを求めるため、ニッチすぎる市場は敬遠される傾向にあります。
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トラクション(初期の顧客反応) 売上がゼロでも、「MVPを使ってみたユーザーの熱量が高い」「事前登録数が伸びている」といった初期の兆し(トラクション)を示すことが重要です。
まとめ:シードラウンドは「準備」と「出会い」が鍵
シードラウンドは、スタートアップが急成長するための最初の燃料補給です。しかし、実績の少ないこの段階での資金調達は、投資家との信頼関係構築がすべてと言っても過言ではありません。
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市場相場を知る: 2025年は3,000万円〜1.5億円が目安。
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適切な投資家を選ぶ: シード特化のVCやエンジェルにアプローチする。
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資料を磨き込む: 事業計画書(ピッチデック)で、市場の魅力とチームの強さを伝える。
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