インキュベーターとは?役割やできることを紹介

インキュベーターとは?役割やできることを紹介

創業前や創業直後はビジョンはあっても「具体的に何をやればいいのか分からない」という経営者が非常に多いものです。

起業家やスタートアップに対して、ハード面からソフト面までさまざまな支援を行っているのがインキュベーターです。

インキュベーターから支援を受けることによって、起業家やスタートアップに必要な知識やノウハウだけでなく、人脈の提供や、情報の提供まで非常に多くの支援を受けられます。

インキュベーターは具体的にどんな支援を行い、どのような機関がインキュベーターとなっているのか、詳しく解説していきます。



インキュベーターとは?

インキュベーターとは英語でIncubatorと表記します。

日本語では「温度を一定に保つ機能を有する装置、孵卵器」などを意味します。

ビジネスの場面では「卵を温める」という意味から派生して、設立前の企業や設立間もない企業を育て支援(インキュベーション)する組織や団体という意味になります。


起業家やスタートアップに対して、設備などのハード面から、経営アドバイスやノウハウの提供などのソフト面など、ハート・ソフト両面にわたって支援をするのが主な役割です。

インキュベーターの役割・できること


インキュベーターの役割はハード面、ソフト面にわたってスタートアップや起業家を支援することですが、具体的には次の支援を行います。

  • 人的支援
  • 物的支援
  • 金銭的支援
  • 情報の支援

インキュベーターから具体的にどのような支援を受けることができるのか、詳しく解説していきます。

人的支援

インキュベーターの役割として1つ目に挙げられるのが人的支援です。

インキュベーターは支援を行うスタートアップなどに対して「インキュベーションマネージャー」という支援の専門家を派遣します。

「インキュベーションマネージャー」は起業に必要な領域について高い専門性を有しているので、支援を受ける起業家やスタートアップは「インキュベーションマネージャー」の専門的な知識や人脈を生かして起業することができます。

物的支援

物的支援とはオフィスや工場などのハード面の支援です。

インキュベーターやスタートアップを成長するために必要な施設を3万円〜5万円程度の非常に安価で貸し出したり、格安物件を斡旋するなどして、スタートアップが成長するために必要な建物や設備の支援を行います。

金銭的支援

金銭的支援とは、スタートアップや起業家が事業を興すための必要な資金調達をサポートすることです。

融資や出資を受けるためには、事業計画書の策定が必要ですが、インキュベーターは金融機関やベンチャーキャピタルが納得できるような、精緻な事業計画書の策定をサポートしてくれたり、資金調達全般の支援を受けることが可能です。

情報の支援

インキュベーターは起業家やスタートアップが事業を展開していくために必要な情報の提供も行っています。

技術的な情報や知的財産に関する情報、また同業他社の情報や顧客の情報など、企業経営の中で必要になるさまざまな情報を提供してもらうことができます。

同じようにインキュベーターから支援を受ける起業家の集まりにも招待してもらうこともあり、起業家同士で情報交換できる土壌の提供も受けられます。

インキュベーターが提供できないこと

インキュベーターは起業家やスタートアップに対して人・モノ・金・情報などの支援をすることはできますが、次のような支援はできません。

  • 出資や融資
  • 出口戦略の策定
  • 労力になること

インキュベーターに支援を期待できないこのとはどのような内容なのか、詳しく解説していきます。

融資

インキュベーター自ら融資を行うことはありません。

融資をするのはあくまでも金融機関で、インキュベーターは融資のサポートをするだけです。

またベンチャーキャピタル以外のインキュベーターから支援を受ける場合には、出資を受けることも不可能です。

出口戦略

インキュベーターは「〇〇年経ったら会社を上場させて売却する」などの出口戦略、撤退戦略の支援も行っていません。

あくまでの起業家やスタートアップが成功して、事業が大きくなることを目的としているため、創業者が「早く成功させて高く売りたい」と考えていたとしても、そのような目的に叶う支援を受けることは不可能です。

労力になること

インキュベーター自ら会社の労力になることはありません。

あくまでも会社が成長するためのサポートをするだけです。

インキュベーターは働く人を確保することはありますが、インキュベーター自らが労力になることはないので注意しましょう。

インキュベーターとアクセラレーターの違い


アクセラレーターとは、創業前や創業間もない企業を支援するインキュベーターとは異なり、スタート段階を過ぎたベンチャー企業の事業拡大などを支援する組織や団体です。

インキュベーターと混同している人が多いですが、アクセラレーターとは次の4つの点で異なります。

  • 支援目的
  • 支援対象
  • 支援期間
  • 支援内容

インキュベーターとアクセラレーターの4つの違いについて詳しく見ていきましょう。


関連記事:アクセラレーターとは?インキュベーターとの違い、国内のプログラムをまとめて解説


支援目的

インキュベーターの支援目的は起業家やスタートアップを支援し、革新的なイノベーションを起こして企業を大きくするきっかけを作ることです。

一方アクセラレーターは、すでにイノベーションが起きた企業のビジネスをさらに拡大していくことです。

支援対象

インキュベーターの支援対象は起業前や起業直後の起業家やスタートアップです。

一方、アクセラレーターの支援対象はシード期間をすぎてすでにイノベーションを起こしたスタートアップ企業です。

インキュベーターの支援によってイノベーションが起きた企業が、アクセラレーターの支援によって事業規模を拡大するイメージです。

支援期間

インキュベーターの支援期間は数年〜期限なしの長期間です。

一方、アクセラレーターは規模拡大のアドバイスをする程度ですので数週間程度で完了することもあれば、長くても数ヶ月程度です。

支援内容

インキュベーターはハード面からソフト面に至るまで、会社を運営していくために必要なあらゆるもののサポートを受けることができます。

一方、アクセラレーターはインキュベーターのように基礎的な支援はせず、事業拡大のために必要なノウハウや人的支援の提供など、限定的な支援に留まります。

インキュベーターとなる団体・特徴

インキュベーターとなる団体は日本と海外では異なります。

海外ではベンチャーキャピタルが合宿形式の支援プログラムなどを提供し、実際に多くの企業が成功している事例があります。

また、スタートアップの株式提供と引換えにサポートを提供する営利型のインキュベーターも存在し、海外では営利目的で支援を行うケースが多いようです。


一方、日本では次のような団体がインキュベーターとなっています。

  • ベンチャーキャピタル
  • 地方自治体・NPO法人
  • 大学・研究期間

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルとは、起業家やスタートアップへ出資し、出資した企業が成長することによって株式を売却して大きな利益を狙う投資家です。

ベンチャーキャピタルにとっては、出資した企業が成長することが自社の利益ですので、インキュベーターとなり、支援する起業家やスタートアップが早く成長できるよう様々なサポートをしています。

地方自治体・NPO法人

地方公共団体やNPO法人や、地域や産業界の発展のために起業家やスタートアップの支援を行っています。

企業が成長すれば地域や産業界の利益になるためです。

ベンチャーキャピタルが営利目的で経営権の一部を渡してしまうことに対して、地方自治体やNPO法人からサポートを受けることは非営利ですので安心です。

大学・研究期間

大学や研究機関も企業のサポートを行うことがあります。

これらの機関は自分達の新技術や発明を商用化するなどの目的があるため、企業に対して主に技術面のサポートを行います。


企業にとっても無料で新技術を手に入れることができる大きなチャンスですが、自社が受けたい時に必ずしもサポートをしている大学や研究機関は存在しないという点について理解しておきましょう。

まとめ

インキュベーターとは起業家やスタートアップをハード面やソフト面などのさまざまな方向からサポートをする機関です。


自社だけでは獲得できない人脈やノウハウや情報を手に入れることができるので、「少しでも早く成功したい」と考える起業家やスタートアップの方は、ベンチャーキャピタルなどが主催するセミナーなどにまずは参加してみるのがよいでしょう。

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