シリーズCラウンドとは?特徴や目安の調達額を紹介

シリーズCラウンドとは?特徴や目安の調達額を紹介

2022.10.04

「投資ラウンド」「シリーズC」といった言葉は、スタートアップの資金調達をする際に使用されるファイナンス用語です。

「どのように資金調達をするべきか分からない」「資金調達を成功させる方法が知りたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、投資に関する言葉の意味や定義と共に、資金調達方法について詳しく解説します。

スタートアップを目指している方や、調達資金を増やしたいと考えている方に必見の内容です。ぜひ参考にしてみてください。



シリーズCラウンドとは?

シリーズCラウンドという言葉を聞いたことがあるものの、意味や概念が分からないという方もいるかもしれません。

まずは、シリーズCラウンドの言葉の意味や定義、資金調達にかかる費用の相場といった基本情報について解説します。

シリーズCの特徴・定義

企業の資金調達の状況や成長過程を段階ごとに区分したものを、「投資ラウンド」「投資シリーズ」と言います。

シリーズCとは、投資ラウンドのC段階に到達している状況のことです。シリーズC以外にも以下のような段階があります。

投資ラウンド 段階

 シード

起業をする前。起業に向けた準備をしている段階
アーリー 起業直後。赤字経営でまだ軌道に乗っていない段階
シリーズA 事業が成長し始め、顧客が増え始める段階
シリーズB 事業が軌道に乗り、収益が増える段階
シリーズC 黒字経営が安定する段階

シリーズCは、事業が安定的に継続されており、黒字経営の状態が続いている段階のことです。IPOやM&Aによるイグジットを意識し始める時期でもあります。

なお、シリーズCはゴールではありません。シリーズD、シリーズEといったように資金調達の段階はシリーズC以降も続いていきます。

シリーズCにおける資金調達の相場

シリーズCはスタートアップの最終段階です。経営が安定し、黒字の状態が続きます。そのため、事業拡大や合併・買収を考える時期とも言えます。

シリーズCの企業が調達する資金の目安金額は大きくなるのが特徴です。相場は以下のようになります。

 

投資ラウンド 相場
シード 100~1,000万円
アーリー 数千万円
シリーズA 数千万円~数億円
シリーズB 数億円
シリーズC 数億円~数十億円

「資金調達は必要ないのでは」と感じられるほど、経営が安定しているケースもあります。ただし、新規事業の開発や海外展開などをする場合にはさらなる資金が必要です。

また、市場の動向が思わぬ方向に発展する可能性も否めません。突然収益が下がったり赤字経営になるリスクを回避するためには、資金調達が必要です。

関連記事:シリーズAとは?資金調達における特徴や調達先、投資ラウンドを紹介

シリーズCの資金調達にかかる期間

シリーズCの段階にある企業の場合、資金調達に長い時間はかかりません。社会的な信用ができており、金融機関の融資条件をクリアしているケースも多く、比較的スピーディーに融資が行われます。

なお、シリーズCの起業であれば金融機関からの融資だけでなく、以下のような投資方法も検討できます。

  • ・IPOを行う
  • ・M&Aを実施する
  • ・VCやCVCを利用する

シリーズCで資金調達を受けるための評価ポイント

資金調達の速度や精度を高めるためには、事前に評価ポイントを押さえ対策を練ることが大切です。シリーズCにおける評価ポイントを2つ紹介します。

ポイント1. PMFを達成すること

PMF(プロダクトマーケットフィット)とは、企業の提供するサービスや商品が市場に適合している状態のことです。「市場のニーズに合った商品やサービスを提供できている状態」とも言えます。

シリーズCでは、PMFを達成している状態であることが期待されます。PMFを達成すると、スタートアップが成功したと考えられ、

利益や売上といった財務上の数値で企業としての価値を客観的に図れるようになるためです。

関連記事:PMFとは?定義・測り方・PSFとの違いを専門家が解説

ポイント2. 企業の将来性を高めること

市場からの評価を高め、企業としての将来性や事業計画の精度をアップさせましょう。将来性を高めることで、投資家や金融機関と資金の投下量に関する質の高い議論が行えるようなるためです。

成長過程にある企業に投資するのと、事業拡大を目指す安定企業に投資するのでは、リスクの高さが異なります。

企業としての将来性が高まり事業計画が明確になることで社会的信用が構築されれば、投資家や金融機関が、リスクを恐れず投資できるようになると考えられます。

シリーズCの調達方法

シリーズCにおける代表的な資金調達方法を3つ紹介します。

シンジケートローン

シンジケートローンとは、資金調達ニーズに合わせて金融機関が協調してシンジケート団という団体を作り、複数の金融機関が同一条件・同一契約書で融資を行う方法です。

企業側がアレンジャーと呼ばれる窓口となる金融機関を探し、アレンジャーがシンジケート団を作成します。

シンジケートローンのメリットは、多額の資金を借り入れできることです。複数の金融機関から資金調達できるため、一ヵ所から融資を受けるよりも融資金額のトータル額が増える可能性があります。

ファクタリング

ファクタリングとは、企業の保有する売掛金(債権)を金融機関に買い取ってもらう方法のことです。手数料が引かれますが、売掛金を早期に現金化できるというメリットがあります。

早ければ申し込み当日に現金化できるケースもあります。「できるだけ早く新規事業に投資したい」「緊急に資金が必要になった」といった場合に適した資金調達方法です。

金融機関が融資に応じてくれないときでも、ファクタリングの手法を用いれば資金を調達できます。

VC・CVC

VC(ベンチャーキャピタル)やCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を利用するのも方法のひとつです。VC・CVCとは、ベンチャー企業に投資を行う企業・組織のことです。

VCでは、あらゆるジャンルの企業に投資を行い、キャピタルゲインにより利益を生むことを目的としているのに対し、CVCでは、自社とベンチャー企業とのシナジーの発生を目的としています。

VCやCVCを利用することで、事業会社から投資による資金を獲得できます。特にCVCでは、投資元の企業と事業連携することも多く、知識・ノウハウも享受できるのが大きなメリットです。

関連記事:VC一覧!シード向けや独立系ベンチャーキャピタルも紹介

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シリーズCにおける資金調達事例

シリーズCの段階にある企業が、資金調達をする際の事例を紹介します。どのように資金調達を進めようか悩んでいる場合は、参考にしてみてください。

VCからの出資例

VCを行う企業は複数ありますが、その中でも代表的なGLOBIS CAPITAL PARTNERSの出資例を紹介します。

GLOBIS CAPITAL PARTNERSは、日本国内最大級のVCです。投資家から預かったお金を投資する「ファンド投資」を行います。国内外を問わず、あるあらゆる分野の企業に投資しているのが特徴です。VCの出資例は以下のようになります。

  • mercari
  • pixta
  • GREE
  • Lancers など

金融機関からの融資例

金融機関で融資を受けるのは最もスタンダードな方法です。金融機関では、各企業のニーズに合わせてさまざまな融資方法を用意しています。

例えば、国内大手のみずほ銀行では以下のような融資方法があります。

  • ・シンジケートローン
  • ・コミットメントライン
  • ・不動産ファイナンス
  • ・みずほスマートビジネスローン
  • ・DX推進サポートローン など

なお、みずほ銀行における「DX推進サポートローン」の実行事例は以下の通りです。

  • ヤシマ工業株式会社
  • 東邦インターナショナル株式会社
  • 根本特殊化学株式会社 など

シリーズCにおけるイグジット・M&A事例

経営状態が安定しており、黒字経営が続いている企業はイグジットも検討しましょう。

イグジットとは、成長が見込める企業や未上場企業などの株式保有者(創設者や出資者)が、株式を売却することで資金を調達する方法です。

イグジットの実現にはIPOやM&A、MBOといった複数の方法があります。ここでは、イグジット戦略に成功した企業の実行事例を3つ紹介します。

株式会社一休

画像出典元:株式会社一休

株式会社一休は、「一休.com」という宿泊予約サイトで高い知名度を上げている企業です。2016年に、ヤフー株式会社に1,000億円分の株式を売却しています。

これにより、国内最大級の検索サイトYahoo!からの流入者が増え、純資産が増加しました。

ヤフーにとっても「楽天トラベル」や「じゃらん」といった競合に打ち勝つための戦略として、高級路線に特化する一休.comを吸収することで富裕層を取り込む狙いがあります。

株式会社すかいらーくホールディングス

画像出典元:株式会社すかいらーくホールディングス

株式会社すかいらーくホールディングスは、バーミヤンやガスト、ジョナサンといった外食チェーンを運営する企業です。

2006年には業績の悪化により経営立て直しのため、株式を非公開化し上場を廃止しました。

その後、経営陣による大規模な経営改革を施し、2014年には再上場を果たしています。

株式会社エディオン

画像出典元:株式会社エディオン

株式会社エディオンは日本の家電量販店です。2022年4月、家具の小売業で知られるニトリホールディングスにより、エディオンの株式のうち合計10%が買収されました。

家具家電は消費者層が似ていることから、「商品やサービスの共同開発」「店舗開発に向けた協働」「物流サービスの設置」といったシナジー創出を目標にしています。

まとめ

シリーズCとは、スタートアップの際に使用される金融用語です。資金調達の段階を示す言葉で、黒字経営が安定化した企業が数億円~数十億円の資金を創出する際に使用されます。

経営状態が安定していても、急な株価の変動や事業拡大などで資金が不足することもあります。

シリーズCの段階にある企業でも、資金調達に関する知識を深めておくことが大切です。今回の記事もぜひ参考にしてみてください。

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