創業時の資金調達方法?種類ごとの特徴を徹底解説

創業時の資金調達方法?種類ごとの特徴を徹底解説

2022.10.24


創業時にはお金が必要になります。

しかし「どんな方法で資金調達をすればよいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか?

資金調達には融資以外にも、出資を受けたり資産を現金化するなど、さまざまな方法があります。

それぞれの特徴を理解して、最適な資金調達を選択できるよう、違いや特徴について詳しく解説していきます。

既存の資産を現金にする方法

会社が保有している資産を現金にして資金調達する方法として次の2つがあります。
・ファクタリング
・手形割引
それぞれ、どのような方法なのか、詳しく見ていきましょう。

ファクタリング

ファクタリングとは、事業者の方が保有する売掛金などの売掛債権をファクタリング会社へ売却して資金調達する方法です。
そのため、ファクタリングは借入ではありません。
売掛債権が実際に入金になるのは、1ヶ月とか2ヶ月先になるのが一般的です。
しかし、ファクタリングを利用すれば最短即日で資金化することができます。
ファクタリングのメリットとデメリットは次の通りです。
メリット
デメリット

・借入ではない

最短即日で資金化できる

売掛先企業の信用で資金調達できる

・手数料が高い
・売掛先企業に同意が必要な場合がある(3社間ファクタリング)

ファクタリングでは売掛金の期日に売掛先企業が支払う代金から返済を行います。
そのため、審査で重要な点は「売掛先企業が期日通りに代金を支払うかどうか」という点です。
自社に信用がなくても売掛先企業に信用があれば審査に通過できるので、銀行融資を断られてしまった場合でもファクタリングは有効です。
ただし、手数料が高く、自社とファクタリング会社だけで取引する2社間ファクタリングでは5%〜20%程度も必要です。
自社と売掛先企業とファクタリング会社の3社で取引する3社間ファクタリングでは2%〜5%程度ですが、3社間ファクタリングは売掛先企業の同意が必要になるので、ファクタリングで資金調達することが相手に知られてしまいます。

手形割引

手形割引とは、企業が所有する受取手形を銀行で割り引いて資金調達する方法です。
保有する受取手型の金額から利息を控除した金額を銀行から借り入れることができます。
ただし、ファクタリングと異なり、手形割引は借入であるため、万が一相手先企業が手形を期日に決済できない場合には自社に責任が及びます。
金利は1%〜5%程度です。

メリット デメリット

低金利で資金調達できる

相手先企業の信用で審査を受けられる

・借入金になる

支払不能の場合は自社に責任が及ぶ

手形割引においても審査のメインは「手形発行企業が期日通りに代金を払えるか」ですので、相手先企業が優良企業の場合は自社の業況が悪くても審査に通過できる場合があります。

負債を増やす資金調達方法

デッドファイナンスでの資金調達方法として次の3つの方法をあげることができます。
・銀行融資
・日本政策金融公庫からの借入
・制度融資
それぞれ、どのような特徴があるのか詳しく解説していきます。

銀行からの融資

銀行から事業資金を借りる方法です。
銀行が企業の事業計画や決算書を審査して、格付けを決定し、格付けや事業規模に見合った金額の融資を行います。
よほど信用のない企業でない限り、銀行から無保証で借りることは難しいため、一般的には信用保証協会の保証をつけて融資を行います。

メリット デメリット

・低金利で資金調達できる

事業計画を審査してもらうことができる

・格付けの低い企業は金利が高くなる

保証料がかかる

通常の銀行融資では格付けによって金利が決まるので、格付けが低い企業は3%〜5%程度の金利が発生することがあります。
また、信用保証協会の保証をつける場合には、保証料がかかるという点にも注意しましょう。

日本政策金融公庫からの融資

国が出資する金融機関である日本政策金融公庫からも事業に必要な資金を借りることが可能です。
日本政策金融公庫は国が中小企業の資金繰りを円滑にするために設置しているため、次のようなケースでの融資制度が豊富です。

・売り上げが減った時

・起業する時

「これから事業を始めよう」という場合には、事業計画書から必要な資金を融資してくれるので、起業する際には強い味方となります。
また、国の金融機関であるため金利が低いという点も特徴で、業況や資金の種類によって異なるものの1%〜3%程度では資金調達することが可能です。

メリット デメリット

金利が低い

無保証で借りられる

資金調達まで時間がかかる
日本政策金融公庫では信用保証協会の保証をつけません。
一方、民間の銀行や信用金庫などの金融期間が信用の浅い企業へ融資する際にはほぼ100%信用保証協会の保証をつけます。
つまり、日本政策金融公庫は民間金融機関とは別枠で融資を受けることが可能です。
銀行や信用金庫から「信用保証協会の保証枠がいっぱいなので」と、融資を断られてしまっても、日本政策金融公庫であれば融資を受けられる場合があります。
ただし、融資までには早くて2週間程度、場合によっては1ヶ月程度の時間がかかってしまうこともあります。

自治体からの制度融資

都道府県や市区町村などの地方自治体は、地元の中小事業者の資金繰りのために制度融資という融資制度を用意しています。
この制度は、金利や融資限度額や融資条件などの諸条件があらかじめ決められており、条件に合致すればどのような企業でもあらかじめ定められた条件で融資を受けることが可能です。
また、原則として自治体が地元の金融機関に対して預けている預託金の範囲内で融資されるので、低金利で融資を受けることが可能です。
また、利息や保証料の補助を自治体の税金から受けられるのもメリットです。

メリット デメリット

・金利が低い

利息や保証料の補助を受けられる

・資金調達まで時間がかかる
制度融資は、地方自治体が融資を実行するわけではありません。
自治体が制度融資の商品内容を決めて、地元の金融機関が融資を行い、信用保証協会が保証を行うスキームです。
そのため制度融資も銀行融資の一環です。
中小事業者の場合は通常の銀行融資よりも金利的なメリットが大きいため、銀行へ「融資をしてほしい」と相談すると、制度融資を薦められ、銀行を窓口として制度融資の借入手続を行うこととなります。
地方自治体、銀行、信用保証協会の3者の審査が必要になるので、融資までには3週間程度の時間がかかる点には注意しましょう。

資産を増やす資金調達方法

借入ではなく、自己資本を増やす資金調達方法をご紹介します。
これらの方法で資金調達を行ったお金は原則として返済不要ですので、会社の資金繰りを安定させることが可能です。
・CVC
・ベンチャーキャピタルからの出資
・エンジェル投資家からの出資

CVC

CVCとは大手企業が自己資本でファンドを作り、上場前の企業へ出資や支援を行う活動組織のことです。
主な目的は、本業との相乗効果を得られる技術やベジネスを獲得するために行われます。
自社の技術を生かせそうな大手企業へ売り込みを行うことでCVCによる資金調達に成功するかもしれません。

ベンチャーキャピタルからの出資

ベンチャーキャピタルも、大手企業が組成している、上場前の企業へ出資を行う法人のことです。
ベンチャーキャピタルの主な目的は、出資した会社を上場させて大きな利益を獲得することです。
ベンチャーキャピタルにとって「将来的に成長しそう」という企業であれば、出資を受けることができる可能性があります。
中小企業を短期間で大きく成長させるため、高額の投資をしてもらえる場合もあるので、大きな資金調達を受けたい場合にはベンチャーキャピタルへ投資を打診してみるのもよいでしょう。

エンジェル投資家からの出資

エンジェル投資家とはスタートアップや起業家などへ出資をする個人です。
元経営者や資産家などがエンジェル投資家になっているケースも多く、儲けたいということよりも「若い起業家を育成したい」という気持ちで投資を行っているケースも少なくありません。
そのため、当該経営者などが持っている人脈やノウハウを伝えてもらうことができるなど、経営者として育成してもらうことができます。
ただし、出資を受けられる金額は数百万円程度で、あまりにも高額な資金の出資を受けることは困難です。

スタートアップに適した資金調達方法

スタートアップには次のような資金調達方法が適しています。

創業期は共通して日本政策金融公庫の創業融資

何も実績のない創業期から出資を受けることは非常に困難です。
従って、最初に必要な資金は融資によって調達するのがベターです。
日本政策金融公庫の創業融資は、自己資金がなくても融資を受けられる場合があります。
また、何も実績がなくても、しっかりとした事業計画書を作成することで審査に通過できるので、「何も事業実績がない人が最初に資金調達する方法」としては最適だと言えるでしょう。
事業計画書の作成についてもサポートを受けることができるので、まずは事業計画を策定し、日本政策金融公庫へ相談にいくのがよいでしょう。

シード~レイターでエクイティやVC・CVCを視野に入れる

事業の構想段階であるシード期から、「将来はエクイティファイナンスであるVC・CVCで資金調達すること」を視野に入れて、計画的に事業を進めていきましょう。
そして、アーリー期(構想を実現に移して起業する段階)とミドル期(会社の土台を成長させていく段階)を経て、事業を拡大させていくタイミングであるレイター期に入ったら出資による資金調達を検討すべきタイミングです。
すでに土台があり「これから拡大することによって大きく会社が成長できる」というタイミングこそ、投資家から最も資金調達しやすいためです。
自社がレイター期に入るというタイミングでベンチャーキャピタルなどに話を持ちかけるとよいでしょう。

非スタートアップに適した資金調達方法

最後に非スタートアップに適した2つの資金調達方法をご紹介していきます。

創業初期は保証協会付き融資

創業初期は信用保証協会の保証付きの制度融資を利用するのがよいでしょう。
ほとんどの自治体に創業者向けの制度融資が用意されており、金利も2%弱程度で借りることができます。
また、自己資金や実績がなくても借りることができ、創業後であっても創業後1年未満であれば借りることができるケースがほとんどですので、地元の銀行や自治体の商工会議所などへ相談してみましょう。

会社規模が大きくなれば社債も可能

会社の規模が大きくなれば少人数私募債などを発行することも可能です。
募集対象となる投資家の数を50人未満までの少人数とし、公募債とは異なり情報開示などの規定がないため、手続きが簡単で小規模な会社でも利用しやすいのが特徴です。
一般的には地元金融機関が引き受けてくれるケースが多く、金融機関が私募債を引き受けるということは信用の証にもなります。
ある程度の規模になったら、融資だけでなく、社債発行による資金調達も検討してみましょう。

まとめ

創業時の資金調達方法はさまざまですが、起業や事業開始後の段階や事業計画や、会社の資産状況によっても異なります。
何も事業実績がない段階ではまずは創業融資、その後はアセットファイナンスやエクイティファイナンスなど、それぞれの資金調達方法の特徴を理解して適切に使い分けるようにしましょう。

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画像出典元:photo-ac

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