学生でも出資は受けられる?VC・エンジェル投資家の探し方とアプローチ方法【元VCが解説】

学生でも出資は受けられる?VC・エンジェル投資家の探し方とアプローチ方法【元VCが解説】

2025.12.11
この記事の監修・執筆:前川 英麿(プロトスター株式会社 代表 / 元VC)
早稲田大卒業後、エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社(現、大和企業投資株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社)等でVC投資活動に従事。現在はプロトスター株式会社代表取締役として、起業家支援インフラ「StartupList」を運営し、115回以上続くリアルイベント「SLピッチ」を主催。

👉学生起業の全体像や他のステップを確認したい方は、ロードマップに戻る
【学生起業】メリット・デメリットは?元VCが教える「失敗しないロードマップ」と3つのリアルな罠

 

 

「起業したいけれど、手元に資金がない」 「学生がプロの投資家に出資してもらうなんて、現実的に無理なのでは?」 「怪しい投資詐欺に遭うのが怖い」

 

学生起業を志す中で、最初の、そして最大の壁となるのが「お金(資金調達)」の問題ではないでしょうか。

 

こんにちは。元ベンチャーキャピタリスト(VC)であり、現在は起業家と投資家をつなぐ国内最大級のマッチングプラットフォーム『StartupList(スタートアップリスト)』を運営している前川英麿です。

 

結論から申し上げます。実績ゼロの学生であっても、出資を受けることは十分に可能です

 

なぜなら、私自身がVCとして多くの学生起業家を見てきた経験があり、また現在運営しているプラットフォームでも、毎月多くの「シード期(創業初期)」の学生が投資家とのマッチングに成功しているからです。

 

この記事では、「コネなし・金なし・実績なし」の学生が、どのようにして安全に投資家と出会い、資金調達を成功させるのか、その具体的なステップと裏側を、データの根拠と共にお伝えします。

 

1. そもそも学生起業で「出資」を受けるのは現実的か?

「すごい売上が立っていないと、投資家なんて相手にしてくれない」と勘違いしていませんか? 実は、プロの投資家が探しているのは「完成された企業」だけではありません。

 

データで見る「投資対象」のリアル

私が運営する『StartupList』の実際のデータをご覧ください。 登録している10,000社以上のスタートアップのうち、約87%は「プレシード・シード期」と呼ばれる、創業前後やアイデア段階の企業です また、従業員数も1〜2名が約40%、3〜5名が約33%と、少人数のチームが過半数を占めています

 

つまり、今まさに皆さんが悩んでいるような「アイデアはあるけど資金がない」「チームは数人しかいない」というフェーズこそが、実はスタートアップ投資の世界ではボリュームゾーンなのです。

 

「融資(借金)」と「出資」の決定的な違い

学生にとって「出資」が魅力的な理由は明確です。


・返済義務がない: 銀行からの融資(借金)とは異なり、事業に失敗しても原則として返済義務はありません。
・ハンズオン支援: 資金だけでなく、経営のアドバイスや人脈の紹介など、事業を伸ばすためのサポートを受けられます。

 

もちろん、代わりに会社の所有権(株式)の一部を渡すことになるため、経営権のバランスには注意が必要ですが、「リスクを抑えて挑戦したい」学生にとっては非常に強力な選択肢です。

 


2. 誰から調達する?「VC」と「エンジェル投資家」の違い

一口に「投資家」といっても、相手によって相性があります。学生起業家が狙うべきは主に以下の2パターンです。

 

① エンジェル投資家(個人)

  • 起業で成功した元経営者や、個人の資産家です。
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学生との相性: ◎(非常に良い)

特徴: 決断が早く、細かい事業計画書よりも「創業者の人柄」や「熱意(パッション)」に共感して投資してくれるケースが多いです。「若者の挑戦を応援したい」という親心のような動機を持つ方も多く、学生にとって最強のメンターになり得ます。

 

 

② ベンチャーキャピタル(VC)

投資を専門に行う組織・会社です。

 

  • 学生との相性: △〜◯(ステージによる)

  • 特徴: 他人のお金を運用しているため、審査はシビアです。「なぜ儲かるのか」「どうやって上場(IPO)するのか」という論理的な説明が求められます。

  • 狙い目: ただし、「シード特化型VC」や「大学系VC」など、創業初期の支援に特化したVCであれば、学生でも十分にチャンスがあります。

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【注意】SNSの「自称・投資家」には気をつけよう

X(旧Twitter)やInstagramのDMで、「出資しますよ」と甘い言葉で近づいてくるアカウントには注意してください。法外な株式比率を要求されたり、コンサル料を請求されるトラブルも多発しています。 投資家を探す際は、必ず身元が確認されているプラットフォームや、信頼できる紹介を経由することが鉄則です。


3. コネなし学生必見!投資家の安全な探し方

「親が経営者でもないし、周りに投資家なんていない」 そんな普通の学生が、安全に投資家と出会うための具体的なルートを3つ紹介します。

 

方法① マッチングプラットフォームを使う【推奨】

  • 現代の資金調達において、最も効率的でスタンダードな方法です。私が運営する『StartupList(スタートアップリスト)』は、国内最大級のマッチングプラットフォームです。規模としてもスタートアップ10,000社以上、投資家3,000名以上が登録しています。

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    安全性: 最大の特徴は「審査制」であること。独自の基準をクリアした投資家(VC・CVC中心)しか登録できないため、学生でも安心してアプローチできます 。

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    実績としても、これまでに7,600件以上のマッチングが生まれています 。登録しておけば、あなたの事業領域(AI、エンタメ、SaaSなど何でもOK )に興味を持った投資家から連絡が来ることもあります。

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    自社に合ったVC・投資家を効率的に見つけませんか?

    StartupListでは、投資家の投資レンジや評価基準、
    過去の経歴等から自社に合った投資家を検索可能です。
    StartupList上で、見つけた投資家とそのままコンタクトできます。
    現在、登録済のベンチャー企業は8,500社以上、投資家数は3700名以上。

    新規登録はこちら

 

方法② ピッチイベントに参加する

一度に複数の投資家に向けてプレゼン(ピッチ)を行うイベントです。 『StartupList』では、毎月「StartupListピッチ」という対面イベントを開催しています

 

参加費は無料です!メリットとしてピッチ終了後、その場にいる10〜15名の投資家と直接名刺交換や壁打ち(フィードバック)ができます 実績として累計500社以上のスタートアップが登壇しています

 

まずはここでの登壇を目標にするのも、非常に良いステップです。

 

方法③ ビジコンで実績を作る

まだ事業計画がフワッとしている場合は、ビジネスコンテスト(ビジコン)に出て賞金を稼ぎつつ、審査員(多くは経営者や投資家)に顔を売るのも有効です。 

 

▼実際のビジコンを調べるならこちらの記事が参考になります!
 学生でも参加できるビジネスコンテスト6選!

 


4. 元VCが教える「無視されない」アプローチのコツ

投資家は毎日何十通ものDMや提案を受け取っています。その中で、学生がスルーされずに「会ってみよう」と思わせるためのポイントは3つです。

 

① 「Why You?(なぜ君なのか)」を語る

アイデア自体に価値はありません。今の時代、似たようなアイデアは世界中にごまんとあります。 投資家が見ているのは、「なぜこの課題を、あなたが解決しなければならないのか」という必然性です。自身の原体験や、強烈な動機を語ってください。

 

② 最低限の「ピッチデック」を用意する

「熱意だけで押し切る」のは学生の特権ですが、最低限のマナーとしてピッチデック(事業紹介スライド)は用意しましょう。 課題、解決策、市場規模、チーム紹介などを10〜15枚程度にまとめるだけで、「本気で事業をする気がある」という信頼に繋がります。

 

③ 「学び」ではなく「事業」として接する

一番やってはいけないのが、「勉強させてください」「アドバイスをください」というスタンスです。 投資家は先生ではありません。リターンを求めるビジネスパートナーです。 「学生だから」と甘えるのではなく、「この市場をこう変えるので、一緒にリスクをとってください」と対等な目線で交渉しましょう。

 


5. もし「出資はまだ早い」と言われたら?(代替案)

出資は「狭き門」であることも事実です。もし投資家に断られても、諦める必要はありません。起業の形は他にもあります。

 

選択肢① 融資(デットファイナンス)を検討する

「株式を渡したくない」「まだ評価額がつかない」という場合は、あえて「借りる」選択肢もあります。 「借金=怖い」と思うかもしれませんが、学生向けの特例や、親にバレずに借りられる公的な制度も存在します。

 

▼融資に挑戦してみたいなら下記の記事を参考に
親バレせずに資金調達は可能?学生の融資審査のリアル

 

選択肢② 資金ゼロ・スキルなしから始める

そもそも、最初から大きなお金をかける必要はありません。まずはPC一台、資金0円で売上を作る方法から始めて、実績ができてから投資家に会いに行くのも賢い戦略です。

 


まとめ:まずは投資家に「会ってみる」ことから始めよう

「自分にはまだ早い」 そう思って準備ばかりしていても、何も始まりません。

スタートアップの世界では、「行動量」こそが最大のリスクヘッジです。 まずは『StartupList』に登録し、どんな投資家がいるのか覗いてみるだけでも大きな一歩です。自分のアイデアが通用するのか、まずは市場に問うてみましょう。

 

監修者情報

前川 英麿 さん
プロトスター株式会社 代表取締役CEO
2008年、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社(現、大和企業投資株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社)に入社し、ベンチャーキャピタルに従事。その後、常駐のターンアラウンド支援に特化したフロンティア・ターンアラウンド株式会社を経て、2015年スローガン株式会社に参画。投資事業責任者としてSlogan COENT LLPを設立し、執行役員カンパニープレジデント就任。2016年11月に挑戦者支援インフラを創るべくプロトスター株式会社を創業。
 
他にサイトビジット社外監査役、経済産業省 先進的IoTプロジェクト選考会議 審査委員・支援機関代表等を歴任。ホロラボ社外監査役、東京都 政策目的随意契約認定審査会 外部審査委員、青山学院大学「アントレプレナーシップ概論」非常勤教師、グローバルビジネス研究所プロジェクト研究員。早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター招聘研究員等。日本ベンチャー学会所属。

 


 

 

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