
インキュベイトファンドは、プレシード・シード期に特化した独立系ベンチャーキャピタル。2010年に設立され、前身のインキュベイトキャピタルパートナーズ(1999年設立)から続くシード投資の系譜を持つ。創業来の運用総額は1,500億円以上、投資先は関連ファンド含め800社以上(2025年7月時点)。このページでは、インキュベイトファンドの投資条件・ファンド構成・代表パートナー・投資先と、StartupListの取材で聞いた意思決定フローと審査ポイントを掲載する。
基本情報
| 正式名称 | インキュベイトファンド株式会社 (Incubate Fund) |
|---|---|
| 種別 | 独立系VC |
| 設立 | 2010年 |
| 代表者 | 代表パートナー 赤浦 徹、本間 真彦、和田 圭祐、 村田 祐介、ポール・マクナーニ (ほかにIF Growthジェネラルパートナーとして 井原昌史・近藤雄一郎) |
| 所在地 | 東京都港区虎ノ門5-9-1 麻布台ヒルズガーデンプラザB 5F |
| 沿革 | 代表パートナーの赤浦徹氏は1991年にジャフコ入社後、 1999年にシード特化の 「インキュベイトキャピタルパートナーズ」を設立 2010年に4名の代表パートナーで インキュベイトファンドを設立 |
| ミッション | Zero to Impact (起業のDay 0から次世代産業を産み出す) |
| 公式サイト | URL:https://incubatefund.com/ |
投資条件サマリ
| 投資ステージ | プレシード / シード (創業前からの事業共創も行う) |
|---|---|
| 1社あたり投資金額 | 非公表 (初回投資の目安は非公表。 5号ファンド以降は1社あたり累計最大約30億円まで、 シード〜Pre-IPOを一気通貫で投資可能) |
| 投資領域 | ディープテック / 生成AI / IT・SaaS (6号ファンドの重点4領域は 「Japan to Global」「Green Innovation」 「National Security Tech」 「国内大規模デジタル・AIトランスフォーメーション」) |
| リード投資 |
する (「First Round, Lead Position, Build Industries」を 投資哲学に掲げ、ファーストラウンドで リードポジションを取る方針) |
| 意思決定期間 | 固定の審査期間なし (月1回の投資委員会があるが、 基本はGPが個人でバジェットを持ち意思決定。 即断即決で決まる場合もある・StartupList取材) |
| 投資スタイル | ハンズオン (フロント/ミドルオフィス/バックオフィスの 3部門体制で支援・StartupList取材) |
| 累計投資社数 | 800社以上 (関連ファンド含む・2025年7月時点) |
| 運用総額 | 創業来1,500億円以上 (2025年7月時点) |
インキュベイトファンドに聞く(StartupList取材)
StartupListはインキュベイトファンドに、意思決定の進め方と投資判断の基準について取材した。
Q. 投資の意思決定はどのように行われますか?
「月に1度投資委員会がありますが、基本的にはGPが個人でバジェットを持ち意思決定しております。ですので即断即決で決まることもあれば、場合によっては着想から投資まで数年かけて起業家とディスカッションすることもあります。」
Q. 審査に必要な書類は?
ピッチブック(事業計画資料)が中心。ピッチブックに必要な要素としては、Sequoia Capitalの「Writing a business plan」を参照することを推奨しているという。同記事が挙げる構成要素は次の10点。
- ピッチブックに盛り込む要素
- Company purpose(会社の目的)
- Problem(課題)
- Solution(解決策)
- Why now?(なぜ今か)
- Market potential(市場の可能性)
- Competition / alternatives(競合・代替手段)
- Business model(ビジネスモデル)
- Team(チーム)
- Financials(財務)
- Vision(ビジョン)
URL:Sequoia Capital「Writing a business plan」
Q. 投資判断ではどこを見ていますか?
重視する点として次の3つを挙げている。
- 投資判断における審査ポイント
- Market(トライするテーマ)とPain(解決すべき課題)が大きい
- Market(トライするテーマ)とFounder/Team(誰がやるのか)のフィット感
- Problem-Solution Fitに対する初期的な検証ができていること
運用ファンド一覧
| ファンド名 | 組成・規模 | テーマ・特記 |
|---|---|---|
| 5号ファンド | 2020年7月一次募集完了 250億円規模 |
組成時点で過去最大 出資者は年金基金・金融機関・ 政府系機関が中心 1社あたり最大約30億円の シード〜Pre-IPO一気通貫投資を可能に |
| 6号 「Incubate Fund VI, L.P.」 |
2025年5月 ファイナルクローズ発表 関連ファンド併せ総額約205億円 |
重点4領域 (Japan to Global/ Green Innovation/ National Security Tech/ デジタル・AI) |
| IF Growth 1号 | 2025年5月ファーストクローズ 最終総額300億円予定 |
グロース投資 GPは井原昌史(2025年3月参画・ 元SMBC日興証券)と 近藤雄一郎(2025年4月就任・ SMBC日興証券前社長) 対象はディープテック/ クリエイティブ産業/ ビジネスソリューションの3セクター |
| IFLP | 2018年組成 (以降3号まで組成) 1号69億円ほか |
若手GPの独立系VC創業を支援 初号ファンド設立出資の支援実績は 累計33ファンド(2024年10月末時点) |
| 海外 | 米国2019年・ インド2016年〜 |
米国拠点Incubate Fund US (現在はGrowth Enjin Partners として活動) Incubate Fund India (2023年にIncubate Fund Asia へリブランド) |
キャピタリスト・チーム
| 氏名 | 役職 | 経歴・特記 |
|---|---|---|
| 赤浦 徹 | 代表パートナー | 1991年ジャフコ入社 1999年インキュベイトキャピタル パートナーズ設立 2010年インキュベイトファンド設立 |
| 本間 真彦 | 代表パートナー | 海外展開(米国・アジア)を主導 |
| 和田 圭祐 | 代表パートナー | フューチャーベンチャーキャピタル、 サイバーエージェントを経て 2007年にシード特化VC セレネベンチャーパートナーズを設立 2010年インキュベイトファンド共同創業 |
| 村田 祐介 | 代表パートナー | エヌ・アイ・エフベンチャーズ (現・大和企業投資)で 通信・ネット投資を担当後、 2010年共同創業 ファンドマネジメントを統括し、 2015年より日本ベンチャー キャピタル協会(JVCA) 企画部長を兼務 |
| ポール・ マクナーニ |
代表パートナー | 2021年3月就任(5人目) 元マッキンゼー・シニアパートナー |
| 井原 昌史 | IF Growth ジェネラル パートナー |
2025年3月参画 元SMBC日興証券 IPO等コーポレート ファイナンス業務約35年 |
| 近藤 雄一郎 | IF Growth ジェネラル パートナー |
2025年4月就任(7月発表) SMBC日興証券前社長 (2020年CEO就任) |
主な投資先
| 企業名 | 事業 | 調達状況・特記 |
|---|---|---|
| Sansan | 名刺管理・営業DX | 2019年6月東証マザーズ上場 創業前から支援 |
| ispace | 月面資源開発 | 2023年4月東証グロース上場 |
| WealthNavi | ロボアドバイザー | 2020年東証マザーズ上場 |
| メドレー | 医療プラットフォーム | 2019年東証マザーズ上場 |
| トヨクモ | 業務改善SaaS | 2020年9月東証マザーズ上場 |
そのほかの主な投資先: AIメディカルサービス、ベルフェイス、Leaner Technologies、gumi、Aiming など関連ファンド含め800社以上。全ポートフォリオはインキュベイトファンド公式サイトを参照。
主な出来事
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025-07 | SMBC日興証券前社長の近藤雄一郎氏の IF Growthジェネラルパートナー参画を発表 (就任は2025年4月) |
| 2025-05 | グロースファンド「IF Growth」組成発表 (総額300億円予定)、 6号ファンド約205億円ファイナルクローズを同時公表 |
| 2025-03 | 井原昌史氏(元SMBC日興証券)が参画 |
| 2021-03 | ポール・マクナーニ氏が 5人目の代表パートナーに就任 |
| 2020-07 | 5号ファンド一次募集完了 (250億円規模・組成時点で過去最大) |
| 2018 | 若手GP独立支援ファンド「IFLP」組成 (以降3号まで) |
| 2010 | インキュベイトファンド設立 |
| 1999 | 前身インキュベイトキャピタルパートナーズ設立 |
インキュベイトファンドの特徴
- インキュベイトファンドのポイント
- プレシード・シード特化で「First Round, Lead Position, Build Industries」を掲げ、創業前からの事業共創を行う
- GP陣とアソシエイトの「フロント」、HR・PR・コミュニティ支援の「ミドルオフィス」、法務・財務の「バックオフィス」の3部門体制でスタートアップを支援する(StartupList取材)
- 合宿型アクセラレーション「Incubate Camp」を2010年から開催(累計18回・2025年10月時点、累計参加起業家260名超、直近5回で約96億円の資金調達創出)
- 毎月開催の「Circuit Meeting」では、半日でインキュベイトファンドと関連ファンドのGP7〜8名と1on1メンタリングができる
- アソシエイトは将来GPとして独立する前提で採用する新卒採用を実施(同社は「業界初」と公表)
- 2025年は投資先16社に人材支援プログラムを実施し、投資先全体で102名の採用支援を実行
- 若手GPの独立をIFLPで支援し、初号ファンド設立出資の支援実績は累計33ファンド(2024年10月末時点)。関連ファンド(Partner Fund)のネットワークを形成
よくある質問
Q1. インキュベイトファンドはどんなVCですか?
A. プレシード・シード期に特化した独立系ベンチャーキャピタル。2010年設立(前身は1999年設立)で、創業来の運用総額は1,500億円以上、関連ファンド含む投資先は800社以上(2025年7月時点)。
Q2. インキュベイトファンドの投資金額はいくらですか?
A. 初回投資の目安は公表されていない。5号ファンド以降は1社あたり累計最大約30億円まで、シードからPre-IPOまで一気通貫で投資できる体制を持つ。
Q3. インキュベイトファンドはどのステージ・どんな企業が対象ですか?
A. プレシード・シードが中心で、創業前の構想段階からの事業共創も行う。6号ファンドの重点領域はJapan to Global、Green Innovation、National Security Tech、国内大規模デジタル・AIトランスフォーメーションの4つ。
Q4. インキュベイトファンドの投資先にはどんな会社がありますか?
A. Sansan(2019年上場)、ispace(2023年上場)、WealthNavi、メドレー、トヨクモなど。投資先は関連ファンド含め800社以上。
Q5. インキュベイトファンドにアプローチするにはどうすればいいですか?
A. 毎月開催の「Circuit Meeting」への応募でGP7〜8名と半日で1on1ができるほか、StartupListから直接オファーを送ることもできる。
Q6. インキュベイトファンドはリード投資をしますか?
A. する。「First Round, Lead Position, Build Industries」を掲げ、ファーストラウンドでリードポジションを取る方針を公表している。
Q7. インキュベイトファンドの意思決定までの期間はどのくらいですか?
A. StartupListの取材に対し、「月に1度投資委員会があるが、基本的にはGPが個人でバジェットを持ち意思決定しており、即断即決で決まることもある」と回答している。固定の審査期間は設けられていない。
Q8. インキュベイトファンドのバリュエーションの目安は?
A. 公表されていない。ラウンド設計は個別協議となる。
Q9. インキュベイトファンドの審査は何を見ていますか?
A. StartupListの取材では、Market(トライするテーマ)とPain(解決すべき課題)が大きいこと、MarketとFounder/Team(誰がやるのか)のフィット感、Problem-Solution Fitに対する初期的な検証ができていることの3点を挙げている。
インキュベイトファンドを含む3,000名以上の投資家に、StartupListから直接アプローチ
StartupListには1万社以上のスタートアップと3,000名以上の投資家が登録。投資ステージ・領域・過去の投資実績から自社に合う投資家を検索し、無料でオファーを送信できる。Circuit MeetingもStartupList上に募集ページがある。
URL:新規登録(無料)
情報源: インキュベイトファンド公式サイト・公式発表・報道、StartupList取材



