東大IPC(東京大学協創プラットフォーム開発)は、東京大学が100%出資する大学系ベンチャーキャピタル。2016年1月に設立され、東京大学関連のスタートアップへの投資に加え、カーブアウト支援や起業支援プログラムの運営を行う。累計投資先は80社超、協創1号(250億100万円)・AOI1号(256億円)・ASAファンドの3本を運用する。国内最大級の大学横断型起業支援プログラム「1stRound」の運営元でもある。このページでは、東大IPCの投資条件・ファンド構成・投資先と、起業家からのアプローチ方法を掲載する。
基本情報
| 正式名称 | 東京大学協創プラットフォーム開発 株式会社 (UTokyo Innovation Platform Co., Ltd.) 略称: 東大IPC |
|---|---|
| 種別 | 大学系VC (東京大学100%出資) |
| 設立 | 2016年1月21日 |
| 代表者 | 代表取締役社長 植田 浩輔 (2022年12月就任) |
| 所在地 | 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟 アントレプレナーラボ |
| 設立の経緯 | 平成24年度補正予算により国から 4国立大学法人に計1,000億円が出資され (東京大学には417億円)、 産業競争力強化法および 改正国立大学法人法の施行(2014年)で 大学からのVC出資が可能になったことを 受け、東京大学100%出資のVCとして設立 |
| 事業 | 起業支援・ベンチャー投資・ DeepTech Diveの3本柱 |
| 公式サイト | URL:https://www.utokyo-ipc.co.jp/ |
東京大学関連のVCには株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)もあるが、別法人。東大IPCはASAファンドからUTEC 6号ファンドへLP出資している。
投資条件サマリ
| 投資ステージ | シード / アーリー / シリーズA / シリーズB以降 (エンジェル・シード・プレシリーズA・ シリーズA・シリーズB以降・プレIPOに 対応するとStartupListの取材に回答) |
|---|---|
| 1社あたり投資金額 |
数千万円〜20億円超 (2021年のAOIファンド増額時の公表。 数千万円のシード投資から 20億円を超える大型投資まで) StartupListの取材では 3,000万円〜10億円と回答 |
| 投資領域 | ディープテック / ヘルスケア / AI (ライフサイエンス、ハードウェア、 IT・サービス、宇宙、創薬、 ロボティクスなど) |
| リード投資 |
する (積極的にリード投資をすると StartupListの取材に回答。 フォロー投資にも積極的) |
| 意思決定期間 |
シードは最短1ヶ月・通常は最短2ヶ月 (StartupListの取材に回答) |
| 投資スタイル |
ハンズオン (投資先1社ごとにリード・サブリードの 担当キャピタリストが付き、事業開発・ 提携からEXITまで支援すると公表) |
| 累計投資社数 |
80社超 (公式サイト表記。基準日は未表示) 2024年7月の公表値は70社超 |
| バリュエーション | 1億円〜100億円以上 (上限なし・StartupListの取材に回答) |
| 投資対象 | 東京大学の研究成果や人材を活用した スタートアップが中核 1stRoundやASAファンドを通じて 他大学のスタートアップ支援にも広がる 海外は案件によっては投資する |
支援プログラム
| プログラム | 内容 |
|---|---|
| 1stRound | 国内最大級の大学横断型起業支援プログラム 前身プログラムは2017年に開始し、 2019年からコンソーシアム型として展開 年2回(6月・12月)開催で各回約8チームを 採択し、最大1,000万円のNon-Equity (株式不要)資金、開発環境、 キャピタリストと専門家による6ヶ月の ハンズオン支援を無償で提供する 対象はVCからの外部調達前のチーム、 または設立3年以内のスタートアップ 累計110チームを採択し、 採択チームの資金調達成功率は約90% 2026年4月時点で23大学5研究機関が共催し、 コーポレートパートナーは24社 |
| DeepTech Dive | 投資・支援先スタートアップの非公開求人 (経営幹部・エンジニア・ バックオフィス等)を扱う 人材マッチングプラットフォーム 登録・利用は無料 |
| DeepTech Founders | 研究者と起業志望のEIR(客員起業家)の 共同創業を支援するコミュニティ 2023年11月ローンチ |
東大IPCに聞く(StartupList取材)
審査プロセス
審査プロセスは以下のフローになります。
- 審査プロセス
- STEP①:社内会議
- STEP②:投資委員会(1回目)
- STEP③:投資委員会(2回目)
- STEP④:法務・会計DD
理論上の最短期間は2ヵ月ですが、シード投資の場合は最短1ヵ月での意思決定も可能です。
審査に必要な書類
一般的にVCから求められる資料で対応可能です。
投資判断における審査ポイント
重視する点は以下です。
- 審査ポイント
- 事業性
- 実行力(実現性)
- 支援意義
東大IPCの立ち位置
東京大学の子会社という立場で、東大と事業会社の窓口機能を持つ。投資先には東大との連携のみならず、事業会社との連携を強く支援し、カーブアウトやジョイントベンチャー設立などVCの枠組みにとらわれない投資も行う。大学や研究機関とのつながりから、毎年100件近い新技術情報を得ている。
学生起業家・若手起業家、研究者、社会人のいずれからの相談も受け付けており、オフィス提供、人材紹介、PR支援も行う。
運用ファンド一覧
| ファンド | 時期・規模 | 特記 |
|---|---|---|
| 協創プラット フォーム開発1号 投資事業 有限責任組合 (協創1号) |
2016年12月設立 出資約束金額 250億100万円 |
LPは東京大学、 三井住友銀行、 三菱東京UFJ銀行(当時) 既存VCファンドへの ファンド・オブ・ファンズ 投資も実施 |
| オープン イノベーション 推進1号 投資事業 有限責任組合 (AOI1号) |
2020年5月組成 2022年2月 ファイナルクローズ ファーストクローズ 約28億円 →2021年4月に 240億円超 →総額256億円 |
カーブアウトベンチャーや ベンチャー共同設立を推進 LPに東京大学、 三菱UFJ銀行、 三井住友銀行、 SBIグループ、 ダイキン工業、 日本政策投資銀行グループ、 博報堂、三菱地所など |
| 大学発 スタートアップ等 促進ファンド 投資事業 有限責任組合 (ASAファンド) |
2024年4月設立 2025年11月 ファイナルクローズ 本体規模は非公表 (出資先の大学系VC ファンド等全体での 出資約束金額は 800億円超) |
全国の大学系VCファンドに 出資するファンド・オブ・ ファンズ。ファンド期間15年 東京都・東急不動産をLPに ファーストクローズし、 2024年7月に東京大学・博報堂、 2025年1月に京葉銀行、 2025年11月に 三菱UFJ信託銀行・ 城南信用金庫・ 山梨中央銀行が参画 |
キャピタリスト・チーム
| 氏名 | 役職 | 経歴・特記 |
|---|---|---|
| 植田 浩輔 | 代表取締役社長 | 2017年より東大IPCで ファンド管理・コーポレート 全般を管掌し、 2022年12月に社長就任 損害保険ジャパン、 科学技術振興機構(JST)、 セガサミーホールディングス 戦略子会社のCFO・執行役員 などを経て参画 |
| 河原 三紀郎 | Chief Investment Officer |
2016年より参画し、 投資および事業開発を管掌 東京大学大学院工学系研究科 修了、Northwestern大学 Kellogg MBA 凸版印刷、理研ジェネシス 取締役COOなどを経て参画 |
主な投資先
| 企業名 | 事業 | 調達状況・特記 |
|---|---|---|
| アストロスケール ホールディングス |
宇宙ごみ (デブリ)除去 |
2018年12月に協創1号 ファンドから出資 2024年6月東証グロース上場 |
| ウェルスナビ | ロボアドバイザー | 2019年11月に協創1号 ファンドから出資 2020年12月東証マザーズ上場 |
| QDレーザ | 半導体レーザー | 2018年8月に協創1号 ファンドから出資 2021年2月東証マザーズ上場 |
| モダリス | ゲノム編集創薬 | 2020年8月東証マザーズ上場 |
| Telexistence | AI×遠隔操作 ロボット |
2018年11月に協創1号 ファンドから出資し、 2021年6月に追加出資 |
| アリヴェクシス | AI創薬 | 2022年3月のシリーズC (総額23.4億円)に参加 |
そのほかの投資先: Synspective、アクセルスペース、コネクテッドロボティクス、Xenoma、アイデミー、クリュートメディカルシステムズ、タグシクス・バイオ、ブレイゾン・セラピューティクス、アキュルナなど。
主な出来事
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026-06 | スタンフォード大学発アクセラレーター 「StartX」等と連携した 「Global DeepFusion Tokyo Program」の 公募を開始 |
| 2026-04 | 1stRoundに奈良県立医科大学が参画し、 23大学5研究機関の共催体制に |
| 2025-11 | ASAファンドがファイナルクローズ (三菱UFJ信託銀行・城南信用金庫・ 山梨中央銀行が新規参画) |
| 2025-10 | 1stRoundに産業技術総合研究所グループ・ 芝浦工業大学が参画 |
| 2025-07 | ASAファンドからUTEC 6号投資事業 有限責任組合へLP出資 |
| 2025-01 | ASAファンドに京葉銀行が参画 |
| 2024-07 | ASAファンドがセカンドクローズ (東京大学・博報堂が参加) |
| 2024-06 | 投資先のアストロスケール ホールディングスが東証グロース上場 |
| 2024-04 | ASAファンドを設立 (東京都・東急不動産をLPに ファーストクローズ) |
| 2023-11 | 共同創業支援コミュニティ 「DeepTech Founders」をローンチ |
| 2022-12 | 植田浩輔氏が代表取締役社長に就任 |
| 2022-02 | AOI1号ファンドが総額256億円で ファイナルクローズ |
| 2016-12 | 協創1号ファンドを設立(250億100万円) |
| 2016-01 | 設立 |
東大IPCの特徴
- 東大IPCのポイント
- 東京大学が100%出資する大学系VCで、東大と事業会社をつなぐ窓口機能を持つ
- シードは最短1ヶ月、通常でも最短2ヶ月で意思決定すると公表している
- 積極的にリード投資を行い、フォロー投資にも積極的
- バリュエーションレンジは1億円〜100億円以上で上限を設けていない
- 大学や研究機関とのつながりから、毎年100件近い新技術情報を得ている
- 協創1号(250億100万円)、AOI1号(256億円)、ASAファンドの3本を運用する
- カーブアウトベンチャーやベンチャー共同設立の推進を目的としたAOIファンドを持つ
- 国内最大級の大学横断型起業支援プログラム「1stRound」を運営し、23大学5研究機関との共催で累計110チームを採択している
- 1stRoundは株式取得を伴わないNon-Equity型で、最大1,000万円を支援する
- ASAファンドを通じて全国の大学系VCファンドへ出資し、地方の大学発スタートアップ支援にも広がっている
よくある質問
Q1. 東大IPCはどんなベンチャーキャピタルですか?
A. 東京大学が100%出資する大学系ベンチャーキャピタル。2016年設立で、協創1号ファンド(250億100万円)、AOI1号ファンド(256億円)、ASAファンドを運用し、累計80社超に投資している。
Q2. 東大IPCの投資金額はいくらですか?
A. 数千万円のシード投資から20億円を超える大型投資まで対応する(2021年のAOIファンド増額時の公表)。StartupListの取材には3,000万円〜10億円と回答している。
Q3. 東大IPCはどのステージ・どんな企業が対象ですか?
A. エンジェルからプレIPOまで幅広く対応する。東京大学の研究成果や人材を活用したスタートアップが中核で、投資領域はライフサイエンス、宇宙、ロボティクス、AIなどのディープテック。
Q4. 東大IPCの投資先にはどんな会社がありますか?
A. アストロスケールホールディングス(2024年上場)、ウェルスナビ(2020年上場)、QDレーザ(2021年上場)、モダリス(2020年上場)、Telexistence、アリヴェクシスなど累計80社超。
Q5. 東大IPCにアプローチするにはどうすればいいですか?
A. 公式サイトの問い合わせや起業支援プログラム「1stRound」への応募のほか、StartupListから直接オファーを送ることができる。StartupListでは投資ステージや過去の投資実績から自社に合う投資家を検索し、そのままコンタクトできる。
Q6. 東大IPCはリード投資をしますか?
A. する。StartupListの取材に対し、積極的にリード投資をすると回答している。フォロー投資にも積極的。
Q7. 東大IPCの意思決定までの期間はどのくらいですか?
A. 理論上の最短期間は2ヶ月だが、シード投資の場合は最短1ヶ月での意思決定も可能と回答している。審査プロセスは社内会議、投資委員会(2回)、法務・会計DDの4ステップ。
Q8. 東大IPCのバリュエーションの目安は?
A. 1億円〜100億円以上で、上限は設けていないと回答している。
東大IPCを含む3,000名以上の投資家に、StartupListから直接アプローチ
StartupListには1万社以上のスタートアップと3,000名以上の投資家が登録。投資ステージ・領域・過去の投資実績から自社に合う投資家を検索し、無料でオファーを送信できる。
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情報源: 東大IPC公式サイト・公式発表・投資先リリース・報道、StartupList取材



