シードステージとは?特有の課題や最適な資金調達手段を紹介

シードステージとは?特有の課題や最適な資金調達手段を紹介

シードステージとはスタートアップの成長段階のひとつです。

ベンチャー企業のなかでも、外部から資金を集めて短期間でサービスの急成長を目指す会社をスタートアップといいます。


シードステージはスタートアップのなかで最も初期の段階ですが、次の段階に至るのは10社に1社ともいわれる狭き門です。

シードステージを通過する起業家や組織には、どのような共通項があるのでしょうか。



シードステージとは?


シードステージはスタートアップが迎える初期段階です。サービス(プロダクトと称する場合も多いです)を開発し、世の中に提供します。サービスは完成したものよりも、ニーズを測るための簡素的なサービスを提供し、本当に世の中に必要とされているのかをテストします。

このときの簡素的なサービスをプロトタイプやα(アルファ)版・β(ベータ)版といいます。

シードステージの目的

シードステージの目的は、起業家が実現したいことを可能な限り多くの人に知って貰い、共感してもらうことです。スタートアップ1社でできることは限られています。


対外的なネットワークを広げ、大企業などが展開するイベントやプレゼンの機会などを活用しながら、「このようなサービスが浸透すると世界は変わります!」と熱量をもって伝え続けます。

シードステージの資金繰り

シードステージに至るまでは、創業時に起業家が準備できた資金で展開します。なかにはエンジェル投資家という、シードステージ前後に投資する投資家もいます。


起業までは会社員や個人事業主として収入のある起業家も多いですが、シードステージで外部出資を受けてからは、そのお金を使ってサービスの発展に全力を賭す覚悟が必要です。

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シードステージの課題

シードステージはまだ十分な売上が期待できない

シードステージは提供するサービスによる売上は期待できません。一方でサービス開発や提供に必要な開発費や市場調査費、起業家や経営陣の生活費は必要です。


売上が無い以上、基本的には民間の金融機関からの融資は困難です。


具体的には、下記のサービスや制度を使用して本格展開を目指します。

  • 周囲の人からの借入
  • 国の資本が入る日本政策金融公庫の創業融資
  • VCと呼ばれるベンチャーキャピタルからの出資

優秀な経営陣の確保

資金に限界があるシードラウンドでは当然ながら、多額の報酬を準備して優秀な人材を招くことはできません。

そこで起業家は自分たちがどれだけ素晴らしいサービスを作るか、世界を変えていくかを訴え、彼らの心を動かしていくことが、優秀な役員陣を集めるための手段です。


現時点での報酬は支払えない一方で、将来株価が上がることを想定して自社株に変換できる権利を付与するスタートアップは多いです。

これらはストックオプションと呼ばれ、スタートアップの世界ではSOと略されることもあります。共感を呼べる未来図とSOを駆使して、優秀な経営陣の確保を目指します。

シードステージにおける最適な資金調達手段

シード向けに出資を行っているVCを株主に迎える

株主にVCを迎えることを検討しましょう。VCの多くはシードの次の段階であるシリーズABの段階になってから出資をする会社が多いですが、より将来的に「化ける」スタートアップを見つけるためにシードから出資をするVCも増えてきています。


スタートアップは成長すると会社の株価が上昇していくため、VCは可能な限り初期で出資することを狙います。


VCの目的はスタートアップがExit(株式上場or大企業へのM&A)したときの売却利益であり、そのためには株価の低いうちに多くの持株割合を取得しておいた方が利益が高いためです。


VCやエンジェル投資家から資金を調達することを、エクイティ・ファイナンスといいます。


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売上が見えてきたら融資も検討する

売上が見えてきたら融資を検討します。日本がスタートアップの創出を掲げていることもあり、売上が見えてきたスタートアップには民間の銀行も融資を検討するようになりました。


エンジェル投資家やVCへの「世界を変えます!」という趣旨のプレゼントは異なり、いかに確実に売上・利益を立てていくかの計画性と実現性が求められます。


エクイティ・ファイナンスに対し、金融機関などから融資を受けることをデット・ファイナンスといいます。売上予測を説明する資料を作る場合も、デット用とエクイティ用を分けて作成することをお勧めします。貸し手となる組織の知りたいことが異なるからです。

シードラウンドの融資における経営者保証

ここで大きな問題になるのが、経営者保証です。売上が見えてきたとはいえ、その後計画通りに売上獲得が進むとは限りません。

エクイティは一般的に返済義務がありませんが、融資は当然ながら一定期間後借りたお金を返していかなくてはなりません。この時に起業家が向き合うのが経営者保証です。


万が一会社が倒産し返せなくなった場合、経営者保証のついているデットは連帯して社長が返済します。


会社が倒産しようと、その債務が無くなるものではありません。社長が返せないならば個人として破産(自己破産)することになりますが、その後の人生に大きな影を残します。


国のスタートアップ創出の動きに呼応して、最近はこの経営者保証を無くす動きも始まっていますが、まだまだ浸透していないのが現実です。なおスタートアップではない中小企業では経営者保証は当たり前であり、スタートアップだけの問題ではないことを付記しておきます。

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シードステージの資金調達を断られてしまう原因

提供開始したサービスがPMFしていない

シードラウンドから次段階に移行する資金調達ができない理由のひとつに、サービスがPMFしていないことが指摘されます。PMFとはproduct(プロダクト)-market(マーケット)-Fit(フィット)の略で、提供するサービスが市場に歓迎されているかを表します。PMFは必ずしも売上が必須ではなく、将来的な課金を前提に無料提供している場合も対象です。


無料提供で強い支持を得ていて、これなら課金をしても売上が期待できるだろうと見込まれる場合に「PMFを達成している」という使い方をします。言い換えれば、PMFを達成していないと、次のステージに移行する資金調達が完了しない可能性が高くなります。


関連記事:PMFとは?定義・測り方・PSFとの違いを専門家が解説

提供したサービスに競合の生まれる可能性が高い

シードラウンドのスタートアップにとって大きな課題は、大企業が同様のサービスを模倣したらどうするか?という問いです。実際にスタートアップが市場可能性を立証した瞬間、大企業が莫大な資金を投下し、一気に市場を蹂躙したという話も数多くあります。

先行するスタートアップはPMFを目指しながらも、将来大企業が参入してきても、自社サービスが勝ち抜けると周囲を納得・安心させることが大切です。


その仮説を持てないシードラウンドのスタートアップは、更なるお金が集まらない傾向があります。


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シードステージとアーリーステージの関係


シードラウンドでPMFを達成すると、シリーズAという次段階に進みます。この段階を「アーリーステージ」と称することも多いです。


アーリーステージはシードステージで実現したPMFを更に立証する段階です。ユーザーが100人満足していたら、それを10,000人に増やしたときに満足度は維持されるのかを考えていきます。


サービスが無料の場合は、有料化して実際の売上獲得を目指していくのもこの段階の特徴です。組織としては経営幹部数人の段階から、10人~30人前後に増えていきます。当然社長がすべてをマネジメントできる段階は超えるため、ミドルマネージャーの力量によって会社の地力が変わります。


シードステージに比べて広告宣伝費などブランディングコストも余裕がでるため、ユーザー以外にも会社を知って貰うことも目的の一つです。


関連記事:アーリーステージとは?向いている資金調達手段や成功例を紹介


シードステージの資金調達成功例

ウエルスナビ

創業者の柴山氏が起業したスタートアップです。アメリカ人の妻の両親が順調な資産活用を進めているのを見て、日本にも資産形成の文化醸成を目指して起業しました。


2015年に6億円の資金調達に成功しており、引受先はグリーベンチャーズ(独立系VC)、SMBCベンチャーズ・みずほキャピタル・MUFGキャピタル(金融系VC)などです。

アメリカ初のロボットアドバイザーというビジネスモデルが日本において浸透する可能性が高かった点が評価され、国内の三大メガバンクの金融系ファンドが同時に出資するという画期的な調達事例になりました。

マネーフォワード

当初お金の管理SNSをサービスインするものの不発。そこで展開したのが現在の家計簿アプリサービスでした。


着実にユーザーを広げシードラウンドで資金調達。第二弾のサービスとして法人向けのクラウド会計サービスに進出し、現在の土台が出来上がります2013年、クラウド会計のリリースを前に国内VC大手のジャフコから5億円を調達します。


家計簿アプリのユーザー数が急進していた点や、toCである家計簿アプリ、toBであるクラウド会計と多角化にチャレンジにしており、お金に関連する幅広い事業に展開可能性があったことが調達成功の背景と考えられます。

シードステージへ投資を行っているファンド・VC

千葉道場ファンド

起業家の千葉功太郎氏が主導しているファンドです。もともと千葉道場という名称は幕末、坂本龍馬が剣術を習った道場名に由来します。当時のようにこれからの新時代を担う起業家の創出を目的としています。


スタートアップのほか、千葉氏の関心が高いドローンに特化したファンドもあります。

Coral Capital

シードラウンドを代表するVCです。幅広いスタートアップに投資しています。

VCとしてのメディア発信にも力を入れており、VC界のオピニオンリーダーの一面もあります。先日の新型コロナに対するワクチンの接種では、スタートアップに対してのワクチンの集団接種を主導し、社会活動として高い評価を得ました。

ANRI

投資家の佐俣アンリ氏が率いています。

女性の圧倒的に少ないスタートアップにおいて、投資先の一定割合を女性経営者に投資するという先進的な取り組みをしています。先日、その目標を達成したというプレスリリースを発信しました。

シードステージの成長を加速させるファンドの活用方法とは?

シードステージにおけるファンド・VCの活用方法は「ハンズオン」です。

ファンドは当然ながら数多くのスタートアップを見てきており、多くの成功譚を知っています。

その一方で無数の失敗も受け止めています。

スタートアップが成功するには、なぜ成功したかではなく、失敗する方法を選択しなかったからとも言われます。

起業家とファンドで二人三脚となることによって、成功譚を獲得していく。それがシードラウンドで成長し、次のステージに至る勝ち筋といえるでしょう。

営業や協業時の同席・支援

VCによる具体的なハンズオンの方法としては、週数回の社内MTG同席などです。

そのほかに会社が成長する対外営業や新規協業に同席するVCも多いです。

また営業先を紹介するVCも多く、シードステージのスタートアップにお墨付きを与える効果を持ちます。

アーリーステージ以降の資金調達フォロー

次回の資金調達時におけるVCや出資会社の紹介もVCによるハンズオンの一環です。

VCによる追加出資や同時出資の声がけなどを行います。

日本におけるエクイティファイナンスは中心になって資金を出すリードがいなければ成立しないことが多く、既存で出資しているVCによる追加出資はこのリードの役割も担います。

参考記事:VC 一覧

まとめ

スタートアップのシードラウンドは起業家だけの世界観を役員・投資家、そして世の中に伝える加速段階です。

次の進むことのできるスタートアップは10社に1社ともいわれ、非常に狭い門です。

ただ、その門を超えた会社に世界を変える権利が得られます。時代はスタートアップを応援する世の中に変わっています。

ぜひたくさんのスタートアップが、シードラウンドを超えて欲しいと思います。

関連記事:エンジェル投資家とマッチングするには?おすすめ方法4選と落とし穴

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