1. TOP
  2. >
  3. 記事TOP
  4. >
  5. 資金調達
  6. >
  7. 日本政策金融公庫のデメリット12選|出資と比べて逆転する点
日本政策金融公庫のデメリット12選|出資と比べて逆転する点

日本政策金融公庫のデメリット12選|出資と比べて逆転する点

資金調達
2026.10.01
この記事の監修・執筆:前川 英麿(プロトスター株式会社 代表 / 元VC)
青山学院大学「アントレプレナーシップ概論」非常勤教師。エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社(現、大和企業投資株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社)でベンチャーキャピタルに従事したのち、常駐のターンアラウンド支援に特化したフロンティア・ターンアラウンド株式会社で事業再生の現場に従事。2016年にプロトスター株式会社を創業し、起業家支援インフラ「StartupList」を運営。経済産業省 先進的IoTプロジェクト選考会議 審査委員・支援機関代表等を歴任。

日本政策金融公庫の創業融資は、創業期にもっとも使われる資金調達手段です。無担保・無保証で借りられ、返済期間も長い。それでもデメリットは確実に存在します。

 

私はベンチャーキャピタルで投資する側にいた一方で、フロンティア・ターンアラウンド株式会社で事業再生の現場に常駐してきました。銀行から紹介が来る段階の会社なので、入った時点でどこも1年以内に資金が尽きる状態です。その現場で見てきたのは、借りたこと自体ではなく、返せる額を超えて借りたことで動けなくなった会社でした。

 

この記事では、公庫のデメリットを「借入であること」「公庫であること」「創業期であること」の3層に分けて、12項目を挙げます。それぞれに対処法を付け、出資(エクイティ)と比べたときにどのデメリットが逆転するか、そして返済できなくなったときに実際に何が起きるかまで書きます。

 

借りるべきかどうかを判断するには、デメリットだけを見ても足りません。比較対象を持って初めて、その欠点が許容できるものかが分かります。

 

制度情報の確認日:2026年10月1日

この記事で分かること
公庫のデメリット12項目と、それぞれの対処法
デメリットが「借入共通」「公庫固有」「創業期固有」のどれに当たるか
デメリットの裏側にあるメリット
出資と比べたときに、どのデメリットが逆転するか
返済できなくなったとき、実際に何が起きるか
民間金融機関・補助金と並べたときの位置づけ
デメリットを小さくする5つの実務



結論:公庫のデメリットは3層に分かれる

「公庫のデメリット」として語られるものの大半は、実は公庫固有の話ではありません。借入という手段そのものの性質と、創業期という段階の制約が混ざっています。

 

ここを分けないと、対処法が見えません。3層に整理すると次のようになります。

層 デメリットの内容
第1層
借入に共通
返済義務/元金返済が経費にならない/
据置中も利息/借入額の上限/
赤字時の追加融資
第2層
公庫に固有
拠点が限られる/窓口が2つに分かれる/
資金使途が制度で決まる/
制度が多く選びにくい
第3層
創業期に固有
自己資金の説明/準備の工数/
代表者個人の信用情報

第1層は、公庫をやめて民間金融機関に行っても解決しません。解決するとしたら出資に切り替える場合だけです。第2層は他の金融機関で回避できます。第3層は準備で埋められます。

 

以下、12項目を順に見ていきます。

 

第1層:借入であることのデメリット(5項目)

1. 返済義務がある

最大のデメリットです。売上が計画どおりに立たなくても、返済期日は動きません。

 

出資であれば、事業がうまくいかなかった場合に投資家へ返す義務は原則ありません。投資家は株式の価値が下がるリスクを引き受けています。融資は逆で、貸し手はリスクを引き受けない代わりに、上振れの利益も受け取りません。

 

この非対称性が、審査の性格を決めています。金融機関にとって、返ってくる金額の上限は貸した額です。上振れしても得をしないので、下振れの説明を求めます。

 

事業再生の現場で入った会社を振り返ると、借入があったこと自体が問題だった会社はほとんどありませんでした。問題になっていたのは、返済できる額を超えて借りていたか、返済が始まる時期と売上が立つ時期がずれていたかのどちらかです。

 

借入は手段であって、原因ではありません。ただし一度組んだ返済計画は、こちらの都合で止まってくれません。これが出資との決定的な違いです。

 

対処法:借入額は、制度の限度額からではなく返済できる金額から逆算します。目安として、税引後利益に減価償却費を足した額が年間の返済原資になります。この金額が年間返済額を上回っているかを、申し込む前に自分で確認してください。

2. 元金返済は経費にならない

見落とされやすい論点です。利息は経費になりますが、元金の返済は経費になりません。

 

結果として、損益計算書で利益が出ていても、元金返済のぶん現金は減ります。「黒字なのに資金が足りない」という状態は、この構造から生まれます。

項目 損益計算書 現金
借入金の入金 載らない 増える
利息の支払い 経費になる 減る
元金の返済 載らない 減る

対処法:利益だけで返済余力を判断せず、資金繰り表で元金返済を含めた現金の動きを確認します。損益計算書には元金返済も借入金の入金も出てこないため、資金繰り表がないと返済後の残高が見えません。

3. 据置期間中も利息は発生する

据置期間は「返済しなくてよい期間」ではありません。元金の返済を待ってもらう期間であり、利息は毎月支払います。

 

さらに構造的な問題があります。総返済期間が同じであれば、据置を長く取るほど返済開始後の元金負担が重くなります。

設定 元金を返す期間
返済期間10年・据置なし 10年
返済期間10年・据置2年 8年(月々の負担が増える)
返済期間10年・据置5年 5年(月々の負担が倍近くに)

対処法:据置期間は「長ければ得」ではありません。売上が立つ時期から逆算して、必要な長さだけ取るのが正解です。据置明けの月次返済額を計算したうえで決めてください。

4. 借りられる額は「返済可能性」で決まる

公庫の融資限度額は制度上7,200万円などと定められていますが、これは上限であって、自社が借りられる額ではありません。(出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」)

 

実際の融資額は、返済できるかどうかで決まります。つまり「大きく先行投資して、数年後に一気に伸ばす」という計画とは相性が良くありません。返済原資が見えない期間が長いほど、額は伸びにくくなります。

 

ここは事業の性質による差が大きい部分です。

事業の形 融資との相性
受託開発・コンサル 入金の見通しが立つため
説明しやすい
飲食・小売 日銭が入るため
返済原資を示しやすい
SaaS・Webサービス 黒字化まで期間があり
額が伸びにくいことがある
研究開発・ディープテック 売上が立つまで長く
融資だけでは賄いにくい

対処法:収益化まで時間がかかる事業は、融資だけで賄おうとしないことです。出資と組み合わせるか、返済負担の軽い資本性ローンを検討します。デットファイナンスとはで手段全体の位置づけを整理しています。

5. 赤字が続くと追加融資が難しくなる

1回目は創業計画で借りられても、2回目以降は実績で判断されます。赤字が続いている状態での追加融資は、説明の難易度が上がります。

 

ただし、赤字であること自体が問題なのではありません。先行投資による計画的な赤字と、構造的な赤字とでは扱いが変わります。問題になるのは、当初の計画から乖離していて、その理由を説明できない場合です。

 

対処法:計画時点から「いつ黒字化するか」を示し、その進捗を報告できる状態にしておくことです。計画どおりに進まなかった場合も、早めに相談したほうが選択肢が残ります。

 

また、挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)は税引後当期純利益が0円未満の期間の金利が一律0.50%まで下がる設計で、先行投資期を想定した制度です。期限一括返済のため融資期間中の元金返済もありません。(出典:日本政策金融公庫「挑戦支援資本強化特別貸付」)

 

第2層:公庫に固有のデメリット(4項目)

6. 拠点が限られる

公庫は全国に支店を置いていますが、都市銀行や地方銀行の店舗網と比べると拠点は限られます。地域によっては、最寄りの支店まで距離があります。

 

ただし現在はインターネット申込みに対応しており、来店が必須ではありません。所在地は公庫の店舗案内で確認できます。

 

対処法:インターネット申込みを使えば、紙の借入申込書は不要です。ただし面談は行われるため、支店との距離は完全にゼロにはなりません。(参考:日本政策金融公庫「お手続きの流れ」)

7. 窓口が2つに分かれている

これは公庫を初めて使う人がもっとも混乱する点です。公庫には国民生活事業と中小企業事業があり、扱う制度も融資規模も違います。

事業 規模と主な制度
国民生活事業 小口中心。1先あたりの
平均融資残高は約800万円。
新規開業・スタートアップ支援資金など
中小企業事業 億単位まで。
スタートアップ支援資金(限度額20億円)、
新事業育成資金など

取り違えると、対象外の窓口で相談することになります。とくにVCから出資を受けている(または受ける見込みの)会社は、7,200万円の国民生活事業ではなく、限度額20億円の中小企業事業が対象になり得ます。(出典:日本政策金融公庫「スタートアップ支援資金」)

 

対処法:必要額が数千万円までなら国民生活事業、億単位なら中小企業事業から当たります。制度一覧は国民生活事業と中小企業事業で分かれています。

8. 資金使途が制度で決まっている

公庫の融資は「事業に必要な設備資金・運転資金」という枠があります。この枠を外れた使い方はできません。

 

設備資金を申し込む場合は見積書が必要で、申請した用途と違うものに使うことは想定されていません。民間のビジネスローンのような自由度はありません。

 

対処法:資金使途は申込みの時点で確定させます。用途が固まっていない段階なら、運転資金として何か月分の何に充てるのかを具体化してから申し込みます。

9. 制度が多く、自分に合うものを見つけにくい

公庫の融資制度は、創業関連だけでも10以上あります。さらに、単独では申し込めず本体に上乗せする「特例」が3つあります。

上乗せできる特例 効果
創業支援貸付利率特例制度 利率を0.65%引き下げ
(雇用の拡大を図る場合は0.9%引き下げ)
賃上げ貸付利率特例制度 利率を0.5%引き下げ
(貸付日から2年間)
経営者保証免除特例制度 上乗せ利率なしで
経営者保証を免除

この3つは、申し込む側から言い出さないと適用されないことがあります。知らずに申し込むと、使えたはずの条件を逃します。(出典:日本政策金融公庫「創業支援貸付利率特例制度」「賃上げ貸付利率特例制度」「経営者保証免除特例制度」)

 

対処法:面談の際に「併用できる特例はありますか」と必ず確認してください。公庫の各制度ページにも「併用できる特例制度」という欄があります。

 

第3層:創業期に固有のデメリット(3項目)

10. 自己資金の出どころを説明する必要がある

現行制度に一律の最低自己資金要件は示されていません。ただし自己資金がどう貯まったかは通帳で確認されます。

 

申込み直前に一括入金された資金は、金額の問題ではなく信用の問題になります。「見せ金」と判断されると、その後の説明が難しくなります。

 

対処法:給与からの貯蓄、退職金、資産売却など、資金の出所を説明できる資料を用意します。親族や共同創業者からの資金は、贈与・出資・借入のどれかを明確にしてください。法人では、株主からの出資と役員借入金も区別します。返済が必要な資金は、その返済を含めて計画を立てます。

11. 準備と審査に時間がかかる

公庫は申込みから融資決定までの平均所要日数を2〜3週間程度と案内しています。ただしこれは申込み後の話で、実際にかかる時間はもっと長くなります。

工程 かかる時間
創業計画書・資金繰り表の準備 数週間かかることが多い
申込み〜融資決定 2〜3週間程度
決定〜契約・入金 別途必要

(参考:日本政策金融公庫「よくあるご質問」)

 

対処法:資金が必要な日から逆算して、余裕をもって相談を始めることです。創業計画書が完成していなくても、事前相談はできます。

12. 代表者個人の信用情報が影響する

法人であっても、創業期は代表者個人の信用情報が確認されます。クレジットカードや携帯電話の分割払いの延滞履歴が残っていると、影響します。

 

また、住宅ローンや車のローンなど個人の借入も、返済負担として見られます。隠しても信用情報で分かるため、正直に書いたうえで返済負担を説明するほうが安全です。

 

対処法:心配な場合は、申込み前に自分で信用情報の開示請求をして確認しておきます。問題が見つかった場合は、解消してから申し込むか、状況を説明できるようにしておきます。

 

デメリットの裏側にあるメリット

ここまで12項目を挙げましたが、デメリットだけを見て判断すると誤ります。公庫には、民間金融機関では得られない条件があります。

メリット 内容
無担保・無保証 創業前または税務申告を2期
終えていない方は原則無担保・無保証人
返済期間が長い 設備資金20年以内、運転資金10年以内
据置期間がある 返済期間のうち5年以内
属性による金利優遇 女性、35歳未満または55歳以上の方、
特定外国人起業家は特別利率A
実績がなくても検討できる 創業前も対象

担保も個人保証も取らずに、20年の期間で貸すという条件は、民間金融機関ではまず出てきません。公庫が政府全額出資の政策金融機関で、創業を増やすこと自体が政策目標に含まれているためです。

 

出資と比べると、デメリットの一部は逆転する

ここがこの記事でもっとも重要な部分です。第1層で挙げた「返済義務がある」は、出資と比べたときの弱点でした。しかし出資にも、融資にはないコストがあります。

項目 融資 出資
返済 元金・利息の
支払いが必要
原則不要
持株比率 希薄化しない 新株発行で
持株比率が下がる
コストの形 利息。
年率で明示される
渡した株式の価値。
金額表示されない
失敗したとき 返済義務が残る 返す義務は
原則ない
成功したとき 利息を払えば
終わり
成功が大きいほど
渡した価値も大きい
調達までの期間 数週間〜 数か月かかることも
経営への関与 限定的 株主構成により
意思決定に影響

資本コストで考えると見え方が変わる

数字にすると分かりやすくなります。以下は仕組みを示すための仮定の試算で、実際の利率や企業価値を示すものではありません。

 

1,000万円を調達するとします。融資で、仮に年利2%・5年返済(元金均等)とすると、利息の総額はおおむね50万円前後です。これが融資の資本コストで、事業がどれだけ成功しても増えません。

 

一方、株式10%を渡して1,000万円を調達した場合。その会社が将来10億円の価値になれば、渡した10%は1億円に相当します。事業が成功するほど、出資のコストは大きくなります。

 

つまり「返済原資が見込めるなら、融資のほうが資本コストは安い」という判断が成り立ちます。第1層の「返済義務がある」というデメリットは、成長する会社にとっては、希薄化を避けられるという利点の裏返しでもあります。

 

ただし、これは返済できることが前提です。収益化まで数年かかり返済原資を示せない事業では、そもそも融資では賄えません。その場合は出資が必要になります。安いか高いかの前で、使えるか使えないかが決まります。

実際に、両方を使った会社があります

株式会社CONFLICT(旧:CLEAR INNOVATION株式会社)は、シードラウンドで3,000万円を調達した後、1,000万円の融資決定を受けました。株式の希薄化を伴わずに成長資金を確保することに加え、将来を見据えて金融機関との関係を築くことも理由でした。インタビューでは、事業計画の根拠や必要資料を整理した過程を紹介しています。CONFLICTのインタビューを読む

 

株式会社Algoboaは、日本政策金融公庫から800万円を調達しました。代表の三池氏は、以前CTOとして関わったAIスタートアップでVC調達を経験しています。今回は持株比率の希薄化を伴わずに経営の選択肢を広げることを重視し、融資支援を活用して自身の時間を事業に集中させるという判断をしています。Algoboaのインタビューを読む

 

返済できなくなったとき、実際に何が起きるか

デメリットを扱う記事の多くは、ここを書きません。しかし「返せなくなったらどうなるのか」が分からないまま借りるのは、リスクの大きさを測らずに取ることになります。

 

事業再生の現場で見てきた範囲で、順を追って書きます。

いきなり差押えにはならない

返済が遅れた瞬間に財産を取られる、という誤解があります。実際はそうなりません。まず連絡が来て、状況の説明を求められます。

 

金融機関にとっても、回収不能にするより返してもらうほうが利益になります。だから最初に提案されるのは、取り立てではなく返済条件の見直しです。

返済条件の見直し(リスケジュール)という手段がある

返済が厳しくなったとき、元金の返済を一定期間止めて利息だけにする、あるいは毎月の返済額を下げる、といった条件変更を相談できます。実務ではリスケジュール、略してリスケと呼ばれます。

よくある変更 効果
元金の返済を一定期間止める 毎月の支出が利息だけになる
返済期間を延ばす 毎月の返済額が下がる
返済額を段階的に戻す 回復に合わせて負担を増やせる

ただし、条件変更には代償があります。その間は新規の借入が難しくなり、変更した事実は記録に残ります。使える手ですが、無料ではありません。

分かれ目は「いつ相談に行ったか」

ここが実際に会社の運命を分けていた部分です。

 

資金繰り表を持って、まだ半年分の資金があるうちに「このままだと厳しくなりそうです」と相談に行った会社と、翌月の返済が危ういという段階で駆け込んだ会社とでは、金融機関が検討できる選択肢の数がまったく違いました。

 

前者には予防的な提案ができますが、後者にできることは限られます。条件変更の交渉にも、資産の売却にも、事業の一部譲渡にも、数週間から数か月かかるからです。現金が尽きる直前に動き始めると、間に合う手が1つか2つに減ります。

 

お金が大事でないという話ではありません。逆境では、お金より時間のほうが先に足りなくなります。そして時間は、資金と違って後から調達できません。

連絡を絶つと、できることがなくなる

立て直せた会社の経営者は、状況が悪くなっても関係者の前から消えませんでした。金融機関にも、取引先にも、従業員にも、悪い数字をそのまま持っていく。この態度が維持されている限り、支援する側は打ち手を検討できます。

 

逆に連絡が取れなくなった時点で、外部からできることはほとんどなくなります。

経営者個人はどうなるか

ここは条件によって結論が変わるため、正確に書きます。

経営者保証を付けていない場合
会社の債務が、原則として個人の返済義務にはなりません。公庫には上乗せ利率なしで経営者保証を免除する特例があり、創業期はこれを使えることがあります。
経営者保証を付けている場合
会社が返済できなくなれば、個人が返済義務を負います。ここが最大の分岐点です。

専門家が関与して再建や事業譲渡に進んだ案件では、経営者が退任することはあっても、自己破産にまで至らずに着地しているケースが多くありました。ただしこれは専門家が入った場合の話です。誰にも相談せず限界まで一人で抱え、事業が完全に止まってから動いた場合は、同じ結末にはなりません。譲渡できる資産が残っていないためです。

 

つまり「融資に失敗しても自己破産しない」という一般論は成り立ちません。どこで手を挙げたかによって、結末が変わります。

再挑戦のための制度もある

一度事業に失敗した経営者が再び創業する場合の制度として、再挑戦支援資金があります。廃業歴等のある方を対象としており、運転資金の返済期間が長く設定されています。

 

制度の条件はスタートアップが使える融資制度一覧に、他の制度とあわせてまとめています。

 

民間金融機関・補助金と並べる

選択肢は融資と出資だけではありません。3つ目として補助金がありますが、性質がまったく違います。

手段 特徴と注意点
公庫の融資 創業期でも検討できる。
無担保・無保証の制度がある
民間金融機関 実績が必要で創業期は難しい。
保証協会付きなら可能性がある
補助金 返済不要だが原則あと払い。
先に支出する資金が別途必要
出資 返済不要だが希薄化する。
調達に数か月かかることも

補助金は「返済不要だから最優先」と考えられがちですが、多くは採択後に自社で先に支出し、後から受け取る仕組みです。そのため、補助金を使うために融資が必要になることがあります。この2つは排他的ではありません。

 

民間金融機関の位置づけはプロパー融資とはで解説しています。

 

どういう会社が公庫を使うべきか

公庫の融資が向いている場合
受託・BtoBなど、売上と入金の見通しが立っている
創業者の持分を維持したい
次のエクイティラウンドまでの運転資金が必要
数か月以内に資金が必要で、出資交渉を待てない
女性、35歳未満または55歳以上で、金利優遇の対象になる
出資との組み合わせを考えるべき場合
開発や実証に時間がかかり、収益化まで期間が必要
必要額が融資で賄える水準を超えている
事業の性質上、返済原資を数年間示せない
VCから出資を受けており、成長投資の資金が必要

 

デメリットを小さくする5つの実務

12項目のうち、準備で対処できるものが大半です。実務としてやるべきことを5つに絞ります。

1. 返済原資から借入額を逆算する

限度額から逆算しないことです。税引後利益に減価償却費を足した額が年間の返済原資で、これが年間返済額を上回っている必要があります。

2. 資金繰り表を12か月分作る

元金返済は損益計算書に出てきません。資金繰り表がないと、返済しながら現金が回るかを確認できません。作る順番は月別収支計画書からで、そこから創業計画書と資金繰り表の両方へ転記すれば数字が一致します。

3. 据置期間を必要な長さだけ取る

据置明けの月次返済額を先に計算します。長く取るほど返済開始後が重くなるため、売上が立つ時期から逆算します。

4. 3つの特例を確認する

創業支援貸付利率特例制度、賃上げ貸付利率特例制度、経営者保証免除特例制度。面談で自分から確認してください。

5. 出資と組み合わせる前提で計画を作る

融資だけで賄えない場合、後から出資を検討すると資本政策が窮屈になることがあります。最初から両方を視野に入れて、どの資金をどちらで賄うかを分けておくほうが選択肢が残ります。

 

この5つのうち、1から4は自社で進められます。5つ目の「どの資金を融資で、どの資金を出資で賄うか」だけは、両方の相場を知らないと線が引けません。判断に迷う場合はStartupListの融資相談で、出資と融資のどちらが向いているかの整理から対応しています。相談は無料です。

 

よくある質問

Q.公庫の融資は信用情報に載りますか?

A.事業性の借入として記録されます。ただし正常に返済している借入は、傷ではなく実績です。公庫での返済実績は、将来民間金融機関と取引を始めるときの材料になります。

Q.一度借りたら、出資は受けにくくなりますか?

A.そのようなことはありません。融資と出資は排他的な関係ではなく、組み合わせている会社は珍しくありません。上で挙げたCONFLICTのように、シードラウンド後に融資を受けた例もあります。

Q.デメリットを避けるために、借りない選択はありますか?

A.自己資金と売上だけで回るなら、それが最も負担の少ない選択です。ただし「借りられるときに借りておく」という判断もあります。創業前または税務申告を2期終えていない間は無担保・無保証で借りられる制度が使えますが、この条件は創業から時間が経つと変わります。

Q.審査に落ちたら、次はいつ申し込めますか?

A.明確な待機期間は公表されていません。ただし落ちた理由が解消されないまま再申込みしても、結果は変わりにくいと考えるべきです。何が足りなかったかを整理してから動くほうが確実です。

Q.赤字でも借りられますか?

A.赤字であること自体より、その理由と回復の見通しを説明できるかが問われます。先行投資による計画的な赤字と、構造的な赤字とでは扱いが変わります。資本性ローンは赤字期の金利が下がる設計になっており、先行投資期を想定した制度です。

Q.公庫に直接申し込むのと、支援会社を使うのはどちらがいいですか?

A.公庫はインターネット申込みと事前相談を受け付けており、支援会社の利用は必須ではありません。準備に使える時間と、書類作成の負担で判断してください。

Q.民間金融機関と公庫、どちらのデメリットが大きいですか?

A.創業期に限れば、民間金融機関は実績がないと貸しにくいため、比較対象になりにくいのが実情です。実績が積み上がった後はプロパー融資も検討対象になります。

Q.結局、借りるべきですか?

A.返済原資を説明できるかどうかで決まります。説明できるなら、創業期に無担保・無保証で借りられる制度は他にほとんどありません。説明できないなら、額を下げるか、出資との組み合わせを検討することになります。

 

融資と出資、どちらを選ぶかから相談できます

公庫のデメリットの多くは、返済できる範囲で借りることと、資金繰り表で現金の動きを見ておくことで、事前に管理できます。問題になるのは、限度額から逆算して借りてしまった場合と、使えたはずの特例を知らずに申し込んだ場合です。

 

そして最も判断が難しいのは、そもそも融資と出資のどちらを選ぶかという入口の部分です。ここは、片方だけを扱っている支援者では整理しきれません。

 

プロトスター株式会社は、起業家と投資家のマッチングサービス「StartupList」を運営し、エクイティでの調達、融資、M&Aによる売却まで含めて200件以上の資金調達を支援してきました。出資と融資の両方を見ている立場から、自社にどちらが向いているかを一緒に整理します。着手金0円・完全成功報酬です。

 

URL:StartupListの融資相談(無料)

 

制度の条件・必要書類・審査の準備は日本政策金融公庫の創業融資にまとめています。

 

※融資の可否・金額・条件は、金融機関の審査により決定されます。

 

エクイティでの調達も検討する場合は、StartupListで投資家を探せます。StartupListには1万社以上のスタートアップと3,000名以上の投資家が登録しており、条件で絞り込んで直接オファーを送れます。

 

\あなたもStartupListを使ってみませんか?/

新規登録はこちら

 

 

制度の条件・必要書類・審査の準備の全体像は、日本政策金融公庫の創業融資にまとめています。あわせてご覧ください。

スタートアップにおすすめ記事
創業計画書の書き方|公庫審査50項目で見る通る例・落ちる例

創業計画書の書き方|公庫審査50項目で見る通る例・落ちる例

ベンチャーデット比較2026|提供元一覧と新株予約権の有無

ベンチャーデット比較2026|提供元一覧と新株予約権の有無

累計9億円超を調達したディープテックスタートアップが、創業初期にStartupListを活用した理由

累計9億円超を調達したディープテックスタートアップが、創業初期にStartupListを活用した理由

会員限定 資金調達を成功させる最新ハックを独占公開
閉じる