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ベンチャーデット比較2026|提供元一覧と新株予約権の有無

ベンチャーデット比較2026|提供元一覧と新株予約権の有無

資金調達
2026.10.02
この記事の監修・執筆:前川 英麿(プロトスター株式会社 代表 / 元VC)
エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社(現、大和企業投資株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社)でベンチャーキャピタルに従事したのち、常駐のターンアラウンド支援に特化したフロンティア・ターンアラウンド株式会社で事業再生の現場に従事。2016年にプロトスター株式会社を創業し、起業家支援インフラ「StartupList」を運営。経済産業省 先進的IoTプロジェクト選考会議 審査委員・支援機関代表等を歴任。元青山学院大学「アントレプレナーシップ概論」非常勤教師。

ベンチャーデットは、エクイティ(出資)でも通常の融資でもない、その中間に位置する資金調達です。赤字でも借りられる可能性があり、株式の希薄化を抑えられるという点で、資金調達の選択肢として急速に扱われるようになりました。

 

ただし「ベンチャーデット」という言葉は、提供する側によって中身がまったく違います。同じ名前で呼ばれているのに、新株予約権を取るものと、取らないものが混ざっています。ここを区別せずに社名だけを眺めても、自社に合う相手は見つかりません。

 

私はベンチャーキャピタルで出資する側にいた一方で、フロンティア・ターンアラウンド株式会社で事業再生の現場に常駐してきました。出資と融資のどちらも見てきた立場から言うと、ベンチャーデットの比較で最初に見るべきなのは金利ではありません。「借りた結果、持分がどうなるか」です。

 

この記事では、国内でベンチャーデットを提供している主な金融機関・事業者を一覧にしたうえで、新株予約権の扱いで4タイプに分けて比較します。条件は各社の公式発表に記載されている内容をもとにしています。

 

提供元はこの2〜3年で大きく増えました。公庫と商工中金に加えて、みずほ・三菱UFJ・SBI新生・りそなといった大手行、静岡銀行・横浜銀行・琉球銀行などの地方銀行、そして専業の事業者が入ってきています。2026年2月には全国銀行協会が事務局を務める検討会が、新株予約権付融資の法務上の論点を整理した報告書を公表しました。参入のハードルが下がり続けている分野です。

 

この記事で分かること
国内でベンチャーデットを提供している金融機関・事業者の一覧(公的・大手行・地銀・専業)
新株予約権を取る提供元と、取らない提供元の見分け方
地方銀行の参入が進んだ理由と、全国銀行協会の検討会報告書の中身
日本政策金融公庫の新株予約権付融資・資本性ローンの条件(限度額・期間・金利)
専業事業者の金利・手数料・調達可能額の目安
劣後ローン・メザニン・ブリッジファイナンスとの関係
希薄化を金額に換算した、エクイティとの比較
ステージと金額で見た使い分けと、申し込む前に確認する7項目



結論:ベンチャーデットは「新株予約権の扱い」で4つに分かれる

ベンチャーデットを比較するとき、多くの記事は金利と限度額を並べます。しかし創業者にとって本当に効くのは、その資金調達で持分が減るかどうかです。

 

この観点で整理すると、国内で使えるベンチャーデットは次の4タイプに分かれます。

タイプ 新株予約権の扱い 主な提供元
1
純粋な
融資型
取らない。
希薄化しない
東日本銀行、
商工中金、
Flex Capital
2
新株予約権
付融資型
取るが、
貸し手は行使しない
日本政策金融公庫、
商工中金
3
資本性
ローン型
取らない。
借入が自己資本
とみなされる
日本政策金融公庫
4
ファンド・
社債型
取ることが多い。
条件次第で
希薄化する
みずほキャピタル、
あおぞら企業投資、
SBI新生銀行、
Funds Startups

注意したいのは、「銀行だから新株予約権を取らない」「ファンドだから取る」とは限らないことです。専業事業者でも株式を一切取らない会社がありますし、公的金融機関でも新株予約権を取る制度があります。提供元の業態ではなく、商品ごとに確認する必要があります。

 

金利はタイプ1から3がおおむね年3%前後まで、専業事業者は年3〜8%程度です。ただし金利差より、新株予約権の有無のほうが最終的な手残りに与える影響は大きくなります。この記事の後半で、金額に換算して比べます。

 

ベンチャーデットとは|出資と通常の融資の中間にあるもの

ベンチャーデットは、赤字で担保も乏しいスタートアップに対して、借入の形で資金を供給する手法の総称です。英語の venture debt をそのままカタカナにした言葉で、法律上の定義がある制度名ではありません。

 

通常の融資と何が違うのかを整理します。

観点 通常の融資 ベンチャーデット
見るもの 過去の決算と
担保・保証
事業計画と
投資家の存在
赤字 原則として
貸しにくい
先行投資による
赤字は前提
担保 求められる
ことが多い
無担保が中心
元本の
返し方
毎月分割で
返していく
据置期間が長い。
期限一括もある
金利 信用力に応じて
低くなる
信用リスクを
織り込んで高め

最大の違いは「何を根拠に貸すか」です。通常の融資は過去の実績と担保を根拠にしますが、スタートアップはどちらも持っていません。そこでベンチャーデットは、事業計画の確度と、すでに出資している投資家の存在を根拠にします。

 

借入による資金調達全般の仕組みはデットファイナンスとはで、資金調達手段の全体像は資金調達とはで整理しています。

エクイティで調達した資金を、運転資金に使ってしまう問題

ベンチャーデットがなぜ必要になるのか。本質は資金の配分にあります。

 

エクイティは持分という高い対価を払って得た資金です。それを人件費や広告費という毎月消えていく支出に充てると、次のラウンドで企業価値を上げる材料が手元に残りません。返済義務のない資金を、返済原資を生まない支出に使ってしまうのが、資金調達でもっとも起きやすい配分のずれです。

 

日々の運転資金を借入で賄い、エクイティで入れた資金は投資に回す。ベンチャーデットは、この配分を組み替えるための道具だと考えると理解しやすくなります。

 

【一覧】ベンチャーデットを提供している主な金融機関・事業者

国内でベンチャーデットまたはそれに準ずる資金を提供している先を、公式発表で確認できる範囲で並べます。条件は案件ごとに変わるため、目安として見てください。

 

最初に押さえておきたいのは、銀行が自行のサイトで「ベンチャーデット」という商品名を掲げているとは限らないことです。グループのベンチャーキャピタルやファンドを通じて提供している例が多く、商品名で検索しても出てきません。取引のある銀行があるなら、まず直接聞くのが確実です。

公的金融機関

提供元 手法 規模の目安
日本政策
金融公庫
新株予約権付融資
(スタートアップ
支援資金)
融資と社債の
合計で20億円
日本政策
金融公庫
資本性ローン
(挑戦支援資本
強化特別貸付)
7,200万円
または15億円
商工中金 融資、
新株予約権付融資、
シンジケートローン
案件による

商工中金は2022年にスタートアップ支援室を新設しています。公表されている事例には、腸内細菌の検査解析を手がけるサイキンソーとの総額3億円の新株予約権付融資契約や、ロボティクスのラピュタロボティクスに対する地域金融機関と協調した総額20億円のシンジケートローン組成などがあります。

 

同社が公開している対談では、担当者が「他が取れないリスクを取る」のがアイデンティティのひとつだと述べています。プロダクトのローンチ前だったスタートアップに対し、他行のキープレイヤーを集めた「オールジャパン体制」で融資を実行した例が紹介されています。

 

URL:商工中金

メガバンク・大手銀行

銀行 関与の形
みずほ銀行 グループのみずほキャピタルが運営する
みずほベンチャーデットファンド(100億円)。
新株予約権を付与した社債で資金供給。
2023年8月設立
三菱UFJ銀行 ベンチャーデットファンドへのLP出資。
Funds Venture Debt Fund 2号に
アンカー投資家として参画(2026年6月)。
同行として国内のベンチャーデット
ファンドへの出資は初
SBI新生銀行 新株予約権付融資を自行で実行。
2024年11月にBENLYへの実行を公表。
SBIグループのVCと
エクイティ・デット両面で支援
りそな銀行 2023年4月にベンチャー支援グループを設置し、
同年10月に取扱開始。アーリー期以降が対象。
2025年11月にFivotとファンドも設立

みずほの「みずほベンチャーデットファンド投資事業有限責任組合」は、無限責任組合員がみずほキャピタル、有限責任組合員がみずほ銀行という構成です。公式ページでは「IPOまでの繋ぎ資金や次回エクイティ調達までの資金確保等の資金調達ニーズに機動的に対応」するものと説明されています。

 

URL:みずほキャピタル ファンド一覧

 

URL:SBI新生銀行 新株予約権付融資の実行について

地方銀行

地方銀行の参入が、2023年以降でもっとも動いた領域です。

銀行 特徴
静岡銀行 地銀のなかで早くから取り組み、
残高の規模で先行していると
報じられている
横浜銀行 グループの横浜キャピタルが
新株予約権付社債を引受。
Yokohama Growth 1号ファンド(30億円)で
スタートアップ成長支援
東日本銀行 新株予約権を取らない融資。
プレシリーズA以降が対象。
商工中金・公庫との協調融資あり
関西みらい銀行 「関西みらいベンチャーデット」を
2025年6月に取扱開始
琉球銀行 「BORベンチャーデット」を
2025年9月に開始。県内初。
ミドル期以降かつVCからの
調達実績がある企業が対象
名古屋銀行 「ベンチャーデット」を商品として公開。
ミドル〜レイターが対象。
期日一括返済にも対応。
新株予約権の引受を依頼する場合がある
東京スター銀行 2023年にワラント付融資を開始。
成長初期の企業への実行例を公表
京都
フィナンシャル
グループ
子会社の京都キャピタル
パートナーズが
金融機関共同型ファンドに参画

このほか山梨中央銀行などでも取り組みが報じられています。地方銀行のベンチャーデットは「全国どこでも使える商品」ではなく、その銀行の営業エリア内に事業拠点があることが条件になるのが通例です。横浜キャピタルのファンドも、横浜フィナンシャルグループの営業地域内に主要な事業拠点がある企業を対象としています。

 

名古屋銀行は条件を公開しており、対象は「当行が投資しているベンチャーキャピタルまたは大手ベンチャーキャピタルから出資をうけている企業」でミドルからレイターステージ、貸出方法は証書貸付や当座貸越、金額・期間・金利は相談のうえ決定、期日一括返済にも対応すると記載しています。あわせて「新株予約権の引受を依頼する場合がございます」とも書かれており、案件によって新株予約権の有無が変わる形です。

 

なお、ベンチャーデットという名前ではなくメザニンファイナンスとして資本性の資金を出している地方銀行もあります。きらぼし銀行のグループ会社であるきらぼしキャピタルは、資本性ローンや優先株式出資を手法とするメザニン・ファイナンスファンドを運営しています。借入でありながら資本に近い性質を持つという点では、公庫の資本性ローンと同じ発想です。

 

琉球銀行の例のように、「VCからの資金調達実績があること」を条件にする先が多いのも共通点です。エクイティでの調達が先、デットが後という順番になります。

 

URL:琉球銀行 BORベンチャーデットの取扱開始について

 

URL:横浜銀行 横浜キャピタル

 

URL:名古屋銀行 ベンチャーデット

 

URL:きらぼしキャピタル 事業概要

 

URL:しずおかフィナンシャルグループ

ファンド・専業事業者

事業者 スキーム 条件の目安
Flex
Capital
融資のみ。
株式を一切
取らない
3,000万円〜。
12〜36ヶ月。
金利3〜8%。
手数料2〜6%
あおぞら
企業投資
転換社債、
普通社債+
新株予約権、
信託受益権投資
3年程度。
IPO志向の
企業が対象
Funds
Startups
金融機関共同型
ファンド。
テイラーメイド型
ミドル・
レイター中心

Flex Capitalは公式ページで「同じベンチャーデットという名称で、株式希薄化のある『転換社債』『新株予約権付き融資』も有名ですが、Flex Capitalでは一切株式をいただいていません」と明記しています。担保・個人保証も不要で、会計・入出金データの連携により2週間程度で審査するとしています。

 

あおぞら企業投資の「VENTURE DEBT FUND」は、転換社債や普通社債に新株予約権を組み合わせるスキームです。同社は「ベンチャーキャピタルのエクイティ投資と銀行融資の間を埋める資金提供」と位置づけています。あおぞら銀行本体にも「ベンチャー企業向けデットファイナンス」の窓口があり、グループとして、エクイティから一般的な銀行融資へつなぐ役割を掲げています。

 

Funds Startupsの「Funds Venture Debt Fund 1号」は、複数の金融機関がLPとして参加する共同型ファンドです。りそな銀行や京都キャピタルパートナーズが参画しており、ディープテック領域にも投資しています。地方銀行が単独では踏み込みにくい案件に、共同で資金を出す形をつくっています。

 

URL:Flex Capital ベンチャーデット

 

URL:あおぞら企業投資 VENTURE DEBT FUND

 

URL:Funds Startups

隣接する手段:レベニュー・ベースド・ファイナンス

ベンチャーデットと並べて検討されることが多いのがRBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)です。将来発生する売上を評価して資金を提供する手法で、借入とは性質が異なります。

 

代表的なサービスであるYoii Fuelは、公式ページで手数料3〜15%、期間1〜12か月、数百万円から数億円という条件を示しています。完全無担保・無保証で、資金使途に制限がなく、持分も希薄化しません。

 

ベンチャーデットより期間が短く手数料率が高いぶん、調達までが速いという性質です。つなぎ資金や、広告投資のように回収サイクルが読める支出に向きます。

 

URL:Yoii Fuel

 

なぜ2026年に提供元が増えたのか

ベンチャーデットという手法自体は昔からありました。増えたのは提供する側です。背景には、政策・制度の整備が順番に進んだという事情があります。

時期 できごと
2022年 「スタートアップ育成5か年計画」策定。
金融機関が支援体制を整え始める
(2027年度で一旦の区切り)
2025年2月 全国銀行協会が
「スタートアップ融資実務ハンドブック」を作成。
新規参入を検討する金融機関向けに
実務を整理
2026年2月 「新株予約権付融資に関する検討会」が
報告書を公表。
利息制限法・出資法上の論点を整理

最後の報告書が、とくに大きい動きです。新株予約権付融資は「利息に加えて新株予約権という対価を受け取ることが、利息制限法や出資法に抵触しないか」という法務上の論点を抱えていました。ここが不明確なままでは、法令遵守を重く見る金融機関ほど踏み込めません。

 

この検討会は全国銀行協会が事務局を務め、貸し手となる金融機関や事業者、借り手となるスタートアップ、法務・会計の有識者が参加し、金融庁および法務省がオブザーバーとして参加して議論されました。全銀協は、報告書が新たに取り組み始める金融機関の一助となることを期待すると述べています。

 

URL:全国銀行協会 新株予約権付融資に関する検討会報告書

 

URL:全国銀行協会 スタートアップ融資実務ハンドブックの作成について

地方銀行が参入しやすくなった理由

制度面の整備に加えて、共同型ファンドという参入経路ができたことも効いています。

 

1行だけでスタートアップ向けの審査体制を立ち上げるのは負担が大きく、案件の数も限られます。複数の金融機関がLPとして参加するファンドに入れば、審査のノウハウを共有しながら、単独では取りにくい案件にも関与できます。

 

Funds Startupsは、共同型ファンドの活動としてLP金融機関とスタートアップの個別マッチング、銀行内での研修会、審査の考え方の共有を行っていると公表しています。参入を検討する地方銀行にとって、実務を学ぶ場になっているわけです。

 

URL:Funds Venture Debt Fund 1号への金融機関の参画について

 

借り手の側から見ると、これは「相談できる窓口が全国に増えた」ということを意味します。数年前なら東京の一部の金融機関しか選択肢がありませんでしたが、いまは地元の銀行が扱っている可能性があります。

 

【タイプ1】新株予約権を取らない純粋な融資

もっとも分かりやすいタイプです。新株予約権を一切取らず、融資だけを行います。したがって持分は1株も動きません。

 

このタイプには、地域金融機関と専業事業者の両方が含まれます。持分がどう減るかの計算方法はダイリューションとはで解説しています。

銀行の場合:対象ステージが絞られる

純粋な融資型は、貸し手が新株予約権によるアップサイドを取りません。利息だけでリスクを負うことになるため、その分だけ審査の対象が絞られます。

 

当社が運営する起業ログで東日本銀行のスタートアップ支援グループに取材した際、同行が公表している対象範囲は次のとおりでした。地域金融機関がこのタイプを提供する場合の、ひとつの目安になります。

項目 東日本銀行の場合
対象
ステージ
プレシリーズA以降。
シードは目利きが難しく対応が難しい
実際に
多い層
アーリーからミドル。
レイターは他行の支援も受けやすいため
業種 ディープテックは評価が難しく得意ではない。
それ以外は幅広く対応
エリア 一都五県。
東京の地域金融機関という位置づけ

つまりシード期は対象外になりやすく、レイター期は選択肢が広いという構造です。銀行の純粋な融資型を探すべきなのは、主にアーリーからミドルの層になります。シード期の資金調達についてはシードラウンドとはをご覧ください。

 

URL:東日本銀行 スタートアップ支援グループ 取材記事(起業ログ)

1行で足りなければ、協調融資で枠を広げる

銀行の純粋な融資型は1行あたりの金額が大きくなりにくいため、他の金融機関と組む形が取られます。東日本銀行の公式ページでは、次の2つの連携が示されています。

商工組合中央金庫との連携
「スタートアップ支援業務に関する連携・協力に関する覚書」にもとづく資金調達支援。二行でデットキャパシティを広げる狙いがあります。
日本政策金融公庫との連携
協調融資商品「アチーブ(Achieve)」の提供。民間金融機関と公庫が同時に融資する形です。

商工中金の事例でも、他行のキープレイヤーを集めて「オールジャパン体制」を組んだ例が公表されています。「この銀行はいくらまで貸せるか」を単独で見るのではなく、組み合わせた枠で考える必要があります。

 

URL:東日本銀行 創業・成長支援

専業事業者の場合:審査が速く、条件が明示されている

Flex Capitalのように、株式を取らないことを明示している専業事業者もあります。銀行との違いは次の点です。

観点 銀行 専業事業者
審査期間 稟議が必要 2週間程度と
明示する先がある
提出書類 事業計画書など 会計・入出金
データの連携
金利 年3%前後まで 年3〜8%程度
+手数料
その後の
関係
メインバンク化を
目指す先もある
資金提供が中心

速さと手続きの軽さを取るか、金利の低さと長期の関係を取るか、という選択になります。どちらが正しいということはなく、必要な時期と金額で決まります。

 

民間金融機関から保証協会を使わずに直接借りる形についてはプロパー融資とはで解説しています。

 

【タイプ2】新株予約権を取るが、貸し手は行使しない

日本政策金融公庫の「新株予約権付融資」がこのタイプです。名前のとおり新株予約権を取りますが、公庫が権利を行使して株主になることはありません。ここが民間のファンドと決定的に違います。

 

公式ページに書かれている条件を、そのまま整理します。

項目 条件
限度額 融資と社債の合計で20億円
返済期間 20年以内
(うち据置期間10年以内)
利率 基準利率(上限3.0%)
新株予約権
の発行価額
無償
行使価額 新株予約権取得時の株式の時価
予約権の
上限
行使したものとして算出した
発行済株式総数の50%以内
予約権割合 原則100%。
個別事情を勘案し10%を下限に決定
行使期間 発行日から償還期限まで

予約権割合は「行使価額の総額を融資金額で割った値」と定義されています。原則100%ということは、融資額と同額分の新株予約権が発行される設計です。

行使されないなら、新株予約権は何のためにあるのか

公式ページには次の2点が明記されています。

公庫は行使しない
「当公庫が、新株予約権を行使して株式を取得することはありません」と記載されています。
経営者に売却する
原則として、株式公開時など一定の条件に達した場合に、経営責任者などに新株予約権を売却します。売却時期は「株式の時価が行使価額の2倍以上となった場合」または「株式公開する場合」のいずれかを、融資時に選択できます。

つまり新株予約権は、公庫が株主になるための道具ではなく、事業が伸びた場合に利息以外の対価を回収するための仕組みです。最終的に権利は経営者側へ戻る前提になっています。

 

結果として、この制度でも持分は希薄化しません。ただし新株予約権の売却には対価が発生するため、IPOが近づいた段階で買い取り資金が必要になる点は、設計時に織り込んでおく必要があります。

使える会社が限定されている

新株予約権付融資は「スタートアップ支援資金」という融資制度の中の仕組みで、その制度自体に対象の縛りがあります。公式ページの条件は次のとおりです。

共通の要件
事業計画書を策定し、事業の成長を図ること。
いずれかに該当すること(1)
一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会の会員(賛助会員を除く)等、独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合等、株式会社産業革新投資機構が出資する投資事業有限責任組合等から出資を受けている、または受ける見込みの会社およびその100%出資子会社。転換社債や新株予約権付社債等の取得も出資に含まれます。
いずれかに該当すること(2)
J-StartupプログラムまたはJ-Startup地域版プログラムに選定された会社およびその100%出資子会社。

読み替えると、すでにVCから出資を受けているか、J-Startupに選定されているかのどちらかが前提です。エクイティでの調達実績がない段階では、この制度には乗れません。

 

VCから出資を受ける流れはVC(ベンチャーキャピタル)一覧とシード・シリーズAのVC投資額相場を参考にしてください。

 

URL:日本政策金融公庫 スタートアップ支援資金(新株予約権付融資を含む)

 

【タイプ3】資本性ローン|借入なのに自己資本とみなされる

日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特別貸付」、通称資本性ローンです。新株予約権は取りません。それでいて金融機関の資産査定上は自己資本とみなされます。

 

この記事で扱う4タイプのうち、設計がもっとも出資に近いものです。公式ページの条件を事業区分ごとに並べます。

項目 国民生活事業 中小企業事業
限度額 7,200万円
(別枠)
15億円
返済期間 5年1ヵ月以上
20年以内
5年1ヵ月、
または6年から
20年までの各年
返し方 期限一括返済。
それまでは利息のみ
期限一括返済。
それまでは利息のみ
担保・
保証人
無担保・
無保証人
無担保・
無保証人

国民生活事業の7,200万円は「別枠」と明記されています。他の制度で借りている枠とは別に使えるという意味で、創業期には効きます。

赤字のときに金利が下がる

資本性ローンのいちばん変わった点は金利の決まり方です。融資後1年ごとに、直近の業績に応じて金利が切り替わります。

返済期間 税引後
当期純利益が
0円以上
0円未満
5年1ヵ月 3.25% 0.50%
5年1ヵ月超
7年以内
3.40% 0.50%
7年超
10年以内
3.65% 0.50%
10年超
15年以内
3.80% 0.50%
15年超
20年以内
3.95% 0.50%

先行投資で赤字の期は0.50%、黒字化したら3.25%から3.95%。業績が悪いときに負担が軽くなる設計で、この形はエクイティに近い性質を持っています。公式ページでも「業績が低調なときは、金利負担が小さい設定」と説明されています。

 

さらに、民間金融機関と組む場合には融資後3年間の金利が下がる扱いがあります。条件は3つすべてを満たすことです。

条件1
民間金融機関からの支援を受けて事業計画書を策定していること。
条件2
事業計画上必要となる資金から自己資金による調達額を控除した額のうち、事業計画書の策定を支援した民間金融機関による融資額が、原則として2分の1超であること。
条件3
融資後3年間、その金融機関に事業計画の進捗を報告し、経営指導を受けること。

これを満たすと、黒字でも融資後3年間は0.50%が適用されます。民間金融機関と公庫をセットで動かす前提の設計になっているわけです。

自己資本とみなされる範囲は、時間とともに減る

「自己資本とみなす」という効果には期限があります。公式ページの記載は次のとおりです。

償還期限までの残り みなし自己資本の割合
5年以上 残高の100%
5年未満 1年ごとに20%ずつ逓減

残り5年を切ると、1年ごとに20%ずつ自己資本としての扱いが減っていきます。財務の見え方を良くする効果は、借りた直後がもっとも大きく、満期が近づくほど薄れます。民間金融機関から追加で借りる計画があるなら、この逓減のタイミングと重ねて考える必要があります。

引き換えに負う義務

条件が良い分、通常の融資にはない義務が付きます。

四半期ごとの報告
完済まで、四半期ごとの経営状況の報告等を含む特約を結びます。年1回の決算報告では済みません。
事業計画書の提出
申込時に、公庫が適切と認める事業計画書を提出します。
倒産時は劣後する
法的倒産手続きの開始決定が裁判所によってなされた場合、他のすべての債務に償還順位が劣後します。これは貸し手側がリスクを引き受けている部分です。
対象制度の縛り
国民生活事業では、新規開業・スタートアップ支援資金、新事業活動促進資金、企業再建資金などいずれかの制度の対象であることが前提です。加えて、地域経済活性化にかかる事業を行うことが求められます。

四半期報告は、管理会計が整っていない会社にとっては実務負担になります。月次で数字が締まる体制を先に作っておくほうが現実的です。

 

URL:日本政策金融公庫 資本性ローン(国民生活事業)

 

URL:日本政策金融公庫 資本性ローン(中小企業事業)

 

公庫の制度全体と、創業期に使える他の制度は日本政策金融公庫の創業融資とスタートアップが使える融資制度一覧にまとめています。

 

URL:日本政策金融公庫 スタートアップ支援(ポータル)

 

【タイプ4】新株予約権を取るファンド型

転換社債や新株予約権を組み合わせて資金を供給するファンドです。あおぞら企業投資の「VENTURE DEBT FUND」が代表例で、投資スキームとして次の2つが公表されています。

スキーム 中身
ラウンド
ファイナンス
次回増資ラウンドを跨ぐ期間の資金支援。
転換社債、普通社債+新株予約権など。
期間は3年程度
ベンチャー信託 売掛金などの裏付資産を流動化して
資金を供給。
信託受益権投資+新株予約権など

このタイプの特徴は次の点です。

金額と期間の自由度が高い
制度融資の枠に縛られないため、事業の形に合わせた設計が可能です。
新株予約権を取ることが多い
信用リスクを利息だけで回収しないため、新株予約権やそれに準ずる条件を付けます。公庫と違い、行使しないという前提は置かれていません。
対象が絞られる
あおぞら企業投資は「IPOを志向する」「ベンチャーデットの商品性に関心が高い」国内スタートアップを投資対象としています。

このタイプを検討するときは、新株予約権の条件を必ず数字で確認してください。行使価額、予約権の割合、行使の条件、貸し手が行使する意思があるか。これらによって、実質的にエクイティでの調達と変わらない希薄化が起きる場合があります。

 

「融資だから持分は減らない」と考えて契約すると、想定外の希薄化が起きます。タイプ4は4つの中で唯一、持分への影響が条件次第で変わるカテゴリーです。

 

同じく持分に影響する仕組みとして、転換権を持つ投資手法もあります。コンバーチブルエクイティとはで、転換の条件が持分にどう効くかを解説しています。

 

劣後ローン・メザニン・ブリッジファイナンスの関係を整理する

ベンチャーデットを調べると、似た言葉がいくつも出てきます。並列の選択肢ではなく、それぞれ別の切り口の言葉なので、整理しておきます。

言葉 何を指しているか
ベンチャー
デット
借り手で分類した言葉。
スタートアップ向けの借入全般
メザニン 返済順位で分類した言葉。
通常の借入と株式の中間層
劣後ローン 契約条件で分類した言葉。
他の債務に返済順位が劣るローン
資本性
劣後ローン
劣後ローンのうち、
自己資本とみなせるもの
ブリッジ
ファイナンス
目的で分類した言葉。
次の調達までをつなぐ短期資金

つまり1つの資金調達が、同時に複数の言葉で呼ばれます。公庫の資本性ローンは、ベンチャーデットでもあり、メザニンでもあり、資本性劣後ローンでもあります。言葉が違うから別の商品だということではありません。

メザニンという言葉の意味

メザニンは建築用語で中2階を指します。金融では、返済順位が「通常の借入(シニア)」と「株式(エクイティ)」の中間にある資金を指します。

層 返済順位 リスクと対価
シニア 最優先 低リスク。
金利は低い
メザニン シニアの次 中間。
金利は高め
エクイティ 最後 最もリスクが高い。
対価は持分

倒産したとき、残った財産はこの順に配分されます。エクイティは最後なので、何も戻らないことが普通です。メザニンはシニアより回収されにくいため、その分だけ金利や新株予約権で対価を求めます。

 

この順位の話は、出資と融資のどちらを選ぶかという判断の土台になります。詳しくは出資と融資の根本的な違いで整理しています。

 

希薄化を金額に換算して比べる

ここまで「希薄化しない」ことを利点として書いてきましたが、具体的にいくらの差になるのかを計算します。金利と希薄化のどちらが重いかは、数字にしないと判断できません。

前提

必要な資金
3億円
調達前の企業価値(プレマネー)
12億円
創業者の持分
調達前に60%
比べる2案
A案:3億円すべてをエクイティで調達する/B案:エクイティ2億円+ベンチャーデット1億円

持分の計算

項目 A案
全額エクイティ
B案
エクイティ+デット
エクイティ
調達額
3億円 2億円
調達後の
企業価値
15億円 14億円
希薄化率 20.0% 14.3%
創業者の
持分
48.0% 51.4%

創業者の持分の差は3.4ポイントです。この段階ではわずかに見えます。しかし持分は、企業価値が上がるほど金額としての差が開きます。

将来の企業価値で見た差

仮に将来100億円で売却またはIPOできたとして、この3.4ポイントを金額に直します。借入は返済を終えており、100億円は株式の価値であるものとします。(返済前なら、B案の手取りからは借入残高が差し引かれます。)

項目 A案 B案
創業者の持分 48.0% 51.4%
100億円での
手取り(概算)
48.0億円 51.4億円

差は約3.4億円になります。一方、デット1億円を金利3%・5年・期限一括で借りた場合の利息総額は、1億円×3%×5年で1,500万円です。

 

つまり1,500万円の利息負担で、3.4億円分の持分価値を手元に残す計算になります。これがベンチャーデットを使う経済的な理由です。

この計算が成り立たない場合

上の計算は事業が伸びた場合の話です。伸びなかった場合は逆になります。

元本1億円の返済義務は消えない
エクイティで調達した2億円には返済義務がありませんが、デットの1億円は事業がどうなっても返す必要があります。
返済が次の調達を圧迫する
毎月の返済や期限一括の償還が、次のラウンドまでの資金計画を狭めます。据置期間の設定を誤ると、プロダクトが立ち上がる前に返済が始まります。
企業価値が上がらなければ差は出ない
3.4ポイントの持分差が意味を持つのは、企業価値が上がった場合だけです。横ばいなら、利息の1,500万円を払っただけになります。

私が事業再生の現場で見てきたのは、借りたこと自体ではなく、返せる額を超えて借りたことで動けなくなった会社でした。希薄化を抑える効果は確かにありますが、それは返済できる範囲の金額に限った話です。

 

VCがなぜ急成長とEXITを求めるのか、その構造上の理由はなぜVCは急成長を求めるのかで解説しています。

 

ステージと金額で見た使い分け

提供元をステージで並べます。

ステージ 現実的な選択肢
創業前
シード
公庫の創業融資、
エンジェル投資家、
資本性ローン(制度の対象に
該当する場合)
プレ
シリーズA
銀行の純粋な融資型が射程に入る。
VCからの出資実績があれば
新株予約権付融資も検討可
アーリー
ミドル
銀行の純粋な融資型の中心層。
専業事業者も対象。
協調融資で枠を広げる
ミドル
レイター
選択肢が広がる。
ファンド型も検討しやすい

注意すべきはシード期です。ベンチャーデットの多くはシード期を対象にしていません。シード期に借入で資金を入れるなら、現実的なのは公庫の創業融資です。日本政策金融公庫の創業融資に手続きと必要書類をまとめています。

金額で見た目安

必要額 見るべき提供元
〜3,000万円 公庫の創業融資。
資本性ローンの併用も検討
3,000万円
〜1億円
資本性ローン(国民生活事業の
別枠は7,200万円)、
専業事業者
1億円前後 銀行の純粋な融資型。
協調融資で組む
数億円以上 新株予約権付融資(上限20億円)、
資本性ローンの中小企業事業
(上限15億円)、ファンド型

公庫の制度は上限額が大きいものの、上限額は「借りられる額」ではありません。実際の金額は返済原資の説明がつく範囲で決まります。

 

審査で見られているもの

ベンチャーデットの審査は、通常の融資とも、VCの投資判断とも違います。公表されている情報と取材から、共通する軸を整理します。

数字より「人」を見る

起業ログの取材で、東日本銀行のスタートアップ支援グループは「数字以上に『人』を見ています」と述べています。シードからプレシリーズAの段階では十分なトラクションがないため、数字だけでは判断しきれないという説明でした。

 

具体的には、経営者には毎回必ず直接会い、オフィスにも必ず伺い、その会社に投資している投資家や周囲からどう見られているかも聞く、という進め方です。

 

これはVCの初回面談と近い審査です。初回面談の3つの審査基準で、投資家側が何を見ているかを整理しています。

ミッションが経営者だけのものになっていないか

同じ取材で、融資が難しいと判断する会社の共通点としてはっきりした言及がありました。

 

「共通して言えるのは『ミッション・ビジョンが経営者だけのもの』になっている会社は厳しいと考えています。CEOやCFOがミッション・ビジョンを体現しているのは当然として、次のレイヤーのメンバーも同じように語れるかどうか、アーリーからミドルのスタートアップに対しては特にそこを大切にしています」

 

加えてプレシリーズA前後の会社については、創業者間の意思疎通が図れているか、事業計画を実現するための採用戦略があるかを見るとされています。スタートアップの採用はリファラルが中心になることが多いため、人脈や関係性も判断材料になります。

 

事業計画書の数字を磨くだけでは足りないということです。計画を実行する組織があるかどうかが、融資判断の対象になっています。

市場の大きさと、競争に勝てるか

商工中金が公開している対談では、プロダクトのローンチ前だった会社への融資判断について、担当者が「マーケットがどれだけ存在して広がっていくか」「国内外の競争相手と戦えるか」が判断のキモだったと述べています。

 

実績がない段階で貸す以上、見られるのはその事業が置かれた市場の構造です。これもVCの投資判断に近い視点になります。

専業事業者はデータで見る

一方、専業事業者は審査の形が異なります。Flex Capitalは会計・入出金データの連携またはCSVで審査が完結し、事業計画書や融資申請用の説明資料は不要だと公表しています。Yoii Fuelも独自のアルゴリズムで過去実績から将来売上を予測する方式です。

 

つまり銀行は「人と計画」を、専業事業者は「数字の実績」を見る傾向があります。自社がどちらを説明しやすいかで、当たる先の順番が変わります。

 

申し込む前に確認する7項目

提供元が絞れたら、個別の条件を確認します。ここを曖昧にしたまま進めると、後から持分や資金計画に影響が出ます。

1.新株予約権を取るか
取る場合は、行使価額・予約権割合・行使の条件・貸し手に行使する意思があるかを数字で確認します。「融資だから希薄化しない」という思い込みで進めないことです。
2.据置期間はいつまでか
元本の返済が始まる時期と、プロダクトが売上を生む時期がずれていないかを確認します。据置期間中も利息は発生します。
3.返済方法は分割か期限一括か
期限一括は月々の負担が軽い代わりに、満期に大きな支出が来ます。その時点の資金計画まで引いておく必要があります。
4.金利以外の費用
専業事業者はアップフロントフィーなどの手数料が別に発生します。金利だけを比べると実質の負担を見誤ります。
5.報告義務とコベナンツ
四半期報告が付く制度があります。財務制限条項(コベナンツ)の有無も確認します。月次で数字が締まる体制があるかを先に確認してください。
6.経営者保証・担保の有無
保証が付くかどうかで、失敗したときに個人に残るものが変わります。出資と融資の根本的な違いで、この判断軸を整理しています。
7.次のエクイティラウンドへの影響
借入があること自体は問題になりませんが、新株予約権の条件や返済スケジュールは、次の投資家が必ず確認します。

とくに1番と7番は、資金が入った後では直せません。契約前に、次のラウンドを担当する可能性のある投資家の目線で条件を読んでおくことをおすすめします。

 

実際にデットで調達した会社の経緯は事例:デット調達(CLEAR INNOVATION)、融資の支援を外部に依頼した理由は事例:融資支援を依頼した理由(Algoboa)でご覧いただけます。

 

借入と出資のどちらを使うかの線引きに迷う段階であれば、StartupListの融資相談で、どちらが向いているかの整理から対応しています。相談は無料です。

 

よくある質問

Q.地方の会社でも使えますか?

A.地方銀行の参入が進んでいるので、数年前より可能性は上がっています。静岡銀行・横浜銀行・名古屋銀行・東京スター銀行・琉球銀行・関西みらい銀行・京都フィナンシャルグループなどが、自行またはグループのファンドを通じて取り扱っています。ただしその銀行の営業エリア内に主要な事業拠点があることが条件になるのが通例です。まずは取引のある銀行に聞いてください。

Q.銀行のサイトを見てもベンチャーデットが見つかりません

A.商品名として掲げていない銀行が多くあります。グループのベンチャーキャピタルやファンドを通じて提供していたり、「スタートアップ支援」「成長支援融資」といった名前で扱っていたりします。検索で見つからないことは、やっていないことを意味しません。

Q.結局どこに相談すればいいですか?

A.まず取引のある銀行に聞くのが早いです。ベンチャーデットという商品名がなくても、スタートアップ向けの枠を持っている銀行は増えています。並行して、公庫の制度(新株予約権付融資・資本性ローン)に該当するかを確認してください。金額が数千万円規模で急ぐなら専業事業者も選択肢になります。

Q.赤字でもベンチャーデットは借りられますか?

A.先行投資による赤字は前提として扱われます。公庫の資本性ローンは税引後当期純利益が0円未満の期の金利を一律0.50%に下げる設計で、赤字期を想定した制度です。ただし赤字の理由と回復の見通しを説明できることは求められます。

Q.シード期でも使えますか?

A.多くの提供元はシード期を対象にしていません。シードは事業の目利きが難しいためです。シード期の借入は公庫の創業融資が現実的です。

Q.VCから出資を受けていないと使えませんか?

A.提供元によります。公庫の新株予約権付融資は、日本ベンチャーキャピタル協会の会員等からの出資、またはJ-Startupへの選定が前提です。一方、資本性ローンや専業事業者には、VCからの出資を要件とする記載はありません。Flex Capitalは外部調達を行っていないオーナー企業も対象だと公表しています。

Q.新株予約権を取られると、持分は減りますか?

A.条件によって変わります。公庫の新株予約権付融資は、公庫が権利を行使せず、原則としてIPO時などに経営責任者へ売却する設計なので、持分は希薄化しません。民間のファンドが取る新株予約権は、この前提が置かれていないことがあります。契約書で確認してください。

Q.ベンチャーデットと劣後ローンは違うものですか?

A.分類の切り口が違うだけで、排他的な関係ではありません。ベンチャーデットは借り手で分類した言葉、劣後ローンは契約条件で分類した言葉です。公庫の資本性ローンは、ベンチャーデットでもあり資本性劣後ローンでもあります。

Q.RBFとベンチャーデットはどちらがいいですか?

A.用途が違います。RBFは期間1〜12か月・手数料3〜15%と短期で高めですが、調達は速くなります。つなぎ資金や回収サイクルの読める支出に向きます。設備投資や長期の人員計画なら、期間の長いベンチャーデットのほうが合います。

Q.エクイティと同時に進めてもいいですか?

A.問題ありません。むしろ資本性ローンは、民間金融機関と組む場合に金利が下がる扱いがあり、複数の調達を組み合わせる前提で設計されています。ただし条件の整合は自社で取る必要があります。

Q.金利は何%くらいが相場ですか?

A.公庫の制度は、新株予約権付融資が基準利率で上限3.0%、資本性ローンが黒字期3.25%から3.95%・赤字期0.50%です。専業事業者は年3〜8%程度に手数料が加わります。ただし金利より新株予約権の条件のほうが、最終的な手残りに与える影響は大きくなります。

Q.断られたら、もう申し込めませんか?

A.取材では、一度は融資に至らなかったものの再度の相談で実行に結びついた案件が多数あると説明されていました。断られた理由を整理して、事業計画に反映してから動くほうが確実です。

 

出資と融資、両方を並べて相談できます

ベンチャーデットは、持分を維持したまま資金を入れられる手段です。ただし提供元によって新株予約権の扱いが違い、同じ「ベンチャーデット」という名前でも、持分への影響はまったく変わります。業態で決まるものでもありません。

 

そしてもっとも判断が難しいのは、どの資金を融資で賄い、どの資金を出資で賄うかという配分です。ここは片方だけを扱っている支援者では線を引けません。エクイティの相場を知らずに融資だけを勧められ、持分を守りすぎて成長が止まる例も、逆に全額をエクイティで調達して希薄化が進んだ例も見てきました。

 

プロトスター株式会社は、起業家と投資家のマッチングサービス「StartupList」を運営し、エクイティでの調達、融資、M&Aによる売却まで含めて200件以上の資金調達を支援してきました。出資と融資の両方を見ている立場から、自社にどちらが向いているかを一緒に整理します。着手金0円・完全成功報酬です。

 

URL:StartupListの融資相談(無料)

 

※融資の可否・金額・条件は、金融機関の審査により決定されます。この記事の条件は各社の公式ページに記載されている内容をもとにしていますが、商品の内容は変更される場合があるため、申し込みの際は各社の公式ページで最新の条件をご確認ください。

 

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