創業計画書は、日本政策金融公庫に融資を申し込むときに提出する書類です。様式はA3の1枚、項目は9つしかありません。書くこと自体は難しくないのに、ここで落ちる人が多いのはなぜか。
結論から言うと、審査担当者は「よく書けているか」ではなく「書いてある数字が合っているか」を見ているからです。熱意のある文章を書いても、資金の合計と事業の見通しが噛み合っていなければ差し戻されます。
プロトスターは融資支援の現場で、お客さまの書類を提出前に50項目でチェックしています。その基準から見ると、落ちる書類にははっきりした共通点があります。
この記事では、公庫の創業計画書9項目を、項目ごとに「通る書き方」と「落ちる書き方」で並べて比較します。あわせて、審査で見られている6つの軸と、もっとも多い差し戻しの理由を書きます。
- この記事で分かること
- 創業計画書9項目の、通る書き方と落ちる書き方の比較
- 事業計画書との違いと、どちらを出すのか
- 審査で見られている6つの軸(当社の50項目チェックの内訳)
- 自己資金はいくら必要か(総事業費の30%という基準)
- 返済原資の計算式と、年間返済額との関係
- もっとも多い差し戻しの理由
- 創業計画書だけでは足りない、あと3つの書類
- 公庫が公開している9業種の記入例とセルフチェックリスト
結論:落ちるのは文章ではなく、数字の整合性
創業計画書で差し戻される理由は、文章の巧拙ではありません。書類の中の数字が、別の場所の数字と合っていないことです。
よくあるのは次のようなずれです。
| ずれている場所 | 何が起きているか |
|---|---|
| 必要な資金と 調達方法 |
左右の合計が 一致していない |
| 事業の見通しと 返済 |
利益が 年間返済額に 届いていない |
| 取扱商品の単価と 売上高 |
単価×件数が 売上高にならない |
| 借入の状況と 自己資金 |
個人の借入が 多く、返済に 回せる額が少ない |
審査担当者は、書類のどこを開いても同じ事業の話になっているかを確認しています。1か所でも噛み合わないと、その数字の根拠を聞かれます。答えられなければ、計画全体の信頼性が落ちます。
逆に言えば、数字を通しで合わせておくだけで、通過率は上がります。文章力の問題ではないので、誰でもできます。
創業計画書とは|事業計画書との違い
似た言葉が並ぶので、最初に整理します。
| 創業計画書 | 事業計画書 | |
|---|---|---|
| 誰が 決めた 書類か |
公庫の 指定様式 |
決まった 様式はない |
| 分量 | A3の1枚 | 自由。 数十ページに なることも |
| いつ 使うか |
公庫に 創業融資を 申し込むとき |
投資家向け、 社内向けなど さまざま |
| 書く こと |
9項目が 決まっている |
相手に よって変わる |
公庫に申し込むなら、提出するのは創業計画書です。事業計画書は任意の添付資料という位置づけになります。
ただし公庫の様式には「これまでのご経験や事業内容の詳細が分かる計画書など、参考となる資料がございましたら、併せてご提出ください」と書かれています。A3の1枚に収まらない説明は、別資料で補えます。
投資家に見せる事業計画と公庫に出す計画は、見る人が違うので中身も変わります。投資家は伸びしろを見ますが、公庫は返せるかを見ます。この違いは出資と融資の根本的な違いで整理しています。VCから出資を受けたあとに借入を組み合わせる場合はベンチャーデット比較2026もあわせてご覧ください。
様式はどこで手に入るか
公庫の公式サイトからダウンロードできます。PDFとExcelの両方があり、Excelのほうが修正しやすいのでおすすめです。
同じページには9業種分の記入例も置かれています。洋風居酒屋、美容業、中古自動車販売業、婦人服・子供服小売業、ソフトウェア開発業、内装工事業、学習塾、歯科診療所、介護サービスの9種類です。
自社の業種に近いものを1つ開いて、書きぶりの粒度を確かめてから書き始めると早く進みます。
| 記入例のある業種 | 自社が近ければ 参考になる点 |
|---|---|
| 洋風居酒屋/ 美容業/ 学習塾 |
客単価×来店数× 営業日数で 売上を立てる型 |
| 中古自動車販売業/ 婦人服・子供服 小売業 |
仕入と在庫がある 業態の 資金使途の書き方 |
| ソフトウェア 開発業 |
受注単価×件数で 売上を立てる型。 設備が少ない場合 |
| 内装工事業 | 外注先と 入金サイトの 書き方 |
| 歯科診療所/ 介護サービス |
設備投資が大きく、 許認可が要る場合 |
自社とまったく同じ業種がなくても、売上の立て方が近いものを選べば使えます。飲食でなくても客単価型なら居酒屋の例が、受注型ならソフトウェア開発業の例が参考になります。
URL:日本政策金融公庫 各種書式ダウンロード(創業計画書・記入例)
創業計画書は9項目|全体像
公庫の様式に並んでいるのは次の9項目です。
| 項目 | 何を書くか |
|---|---|
| 1 創業の動機 | なぜこの事業を、 いま始めるのか |
| 2 経営者の略歴等 | 職歴、過去の事業経験、 取得資格、知的財産権 |
| 3 取扱商品・ サービス |
内容と売上シェア、強み、 販売戦略、競合、許認可 |
| 4 従業員 | 常勤役員、従業員数、 家族従業員、パート |
| 5 取引先・ 取引関係等 |
販売先・仕入先・外注先、 掛取引の割合、回収と 支払の条件 |
| 6 関連企業 | 代表者が関係する 他の会社 |
| 7 お借入の状況 | 代表者個人の借入。 残高と年間返済額 |
| 8 必要な資金と 調達方法 |
設備資金・運転資金と、 その調達元 |
| 9 事業の見通し (月平均) |
創業当初と軌道に 乗った後の損益 |
この9項目のうち、審査で重く見られるのは1・2・8・9の4つです。残りは事実を正確に書けば足ります。以下、項目ごとに通る書き方と落ちる書き方を並べます。
【項目別】通る書き方と落ちる書き方
1 創業の動機
様式には「創業されるのは、どのような目的、動機からですか」と書かれています。欄は小さいのですが、ここは審査担当者が最初に読む場所です。
| 落ちる書き方 | 通る書き方 |
|---|---|
| 「以前から 独立したいと 考えていた」 |
市場の背景、 解決したい課題、 自分が気づいた きっかけ、 いま始める理由 の4つを書く |
| 「人の役に 立ちたい」 |
誰のどの困りごとを、 いくらで解決するかを 具体的に書く |
| 熱意だけで 事業の説明が ない |
動機と、 あとの項目に出てくる 事業内容がつながって いる |
当社のチェックでは、創業の動機に「市場背景・課題・原体験・タイミング」の4つが入っているかを見ています。4つそろっていると、担当者が読んだときに事業の必然性が伝わります。
とくに弱くなりやすいのがタイミングです。「なぜ今なのか」が書かれていないと、計画全体が「いつか やりたかったこと」に見えます。
2 経営者の略歴等
職歴を並べる欄ですが、年表を写すだけでは足りません。
| 落ちる書き方 | 通る書き方 |
|---|---|
| 勤務先と 在籍期間だけ |
今回の事業と 同じ業種での 経験年数を はっきり書く |
| 「営業を 担当」 |
「年商5億円の 部門で、 新規開拓を 年間30件」と 数字を入れる |
| 資格欄が 空白 |
業種に必要な 許認可・資格は 取得済みか 申請中かを書く |
当社が見ているのは「斯業経験年数」と「数字の実績」の2つです。同じ業種で何年やってきたか、そこで何を達成したか。この2つがあると、計画の実現可能性に説得力が出ます。
未経験の業種で創業する場合も、隠す必要はありません。そのかわり、経験者を採用する、業務提携する、といった補い方を書きます。穴があること自体より、穴を認識していないことのほうが問題になります。
3 取扱商品・サービス
内容、売上シェア、セールスポイント、販売ターゲットと販売戦略、競合や市場の状況、許認可を書きます。
| 落ちる書き方 | 通る書き方 |
|---|---|
| 商品名だけで 単価がない |
商品ごとに 単価と想定件数を 書き、 売上シェア%も 埋める |
| 「品質が 高いこと」が 強み |
なぜ他社より 高品質にできるかの 理由を書く |
| 競合欄が 「特になし」 |
近隣や同業の 状況を書き、 そのうえで どう差別化するかを 書く |
「競合なし」と書くと、市場を調べていないと判断されます。競合がいない市場は、たいてい需要もない市場です。
様式には客単価、受注単価、営業日数、定休日、営業時間を書く欄もあります。飲食や小売ならここが売上の根拠になるので、9項目目の事業の見通しと必ず一致させてください。
4 従業員
事実を書くだけの欄ですが、9項目目の人件費と連動します。従業員数が増えれば人件費が増え、利益が減ります。
なお「従業員数」は3ヵ月以上継続して雇用する人を数えます。個人営業の場合、人件費に事業主本人の分は含めません。ここを含めてしまうと利益の計算がずれます。
5 取引先・取引関係等
販売先・仕入先・外注先と、それぞれの掛取引の割合、回収と支払の条件を書きます。見落とされやすい項目ですが、資金繰りに直結します。
| 落ちる書き方 | 通る書き方 |
|---|---|
| 締め日・ 回収日が 空欄 |
「月末締め 翌月末入金」 のように 具体的に書く |
| 回収より 支払のほうが 早いのに 気づいていない |
入金と支払の 時期のずれを 把握し、 その分の運転資金を 8項目目に 積んでいる |
売上が立っていても、入金が2ヶ月先なら、その間の支払は手元資金で賄う必要があります。このずれを計算していない計画は、黒字でも現金が尽きます。
私が事業再生の現場で見てきた会社も、赤字で詰まったというより入金と支払のタイミングがずれて動けなくなったケースが多くありました。
6 関連企業
代表者が関係する他の会社を書きます。隠さないでください。登記で確認できるものなので、書いていないと発覚したときの印象が悪くなります。
7 お借入の状況
法人の場合も、代表者個人の借入を書きます。事業・住宅・車・教育・カードといった区分と、残高、年間返済額です。
| 落ちる書き方 | 通る書き方 |
|---|---|
| カードローンや リボ残高を 書かない |
すべて正確に書く。 信用情報で 確認される |
| 年間返済額を 空欄にする |
残高と年間返済額の 両方を埋める |
ここは書かなくても分かります。公庫は信用情報機関の情報を確認できる立場にあります。書いていない借入が出てくると、記載漏れではなく隠したと受け取られます。
当社のチェックでは個人の借入総額が年収の3分の1を超えていないかを見ています。超えている場合、創業融資の返済に回せる余力が小さいと判断されやすくなります。
リボ払いの残高がある方は、申し込む前に整理しておくことを強くおすすめします。これは書き方では解決できない、事前にしか直せない項目です。
8 必要な資金と調達方法
左に必要な資金(設備資金・運転資金)、右に調達方法(自己資金、親族知人からの借入、公庫からの借入、他の金融機関からの借入)を書きます。
| 落ちる書き方 | 通る書き方 |
|---|---|
| 左右の合計が 一致していない |
左右の合計が 1円まで一致 |
| 「設備一式 300万円」 |
何をいくらで 買うかの明細と、 見積先を書く |
| 運転資金を ざっくり 「200万円」 |
何ヶ月分の 何の支払かを 積み上げる |
| 借入希望額から 逆算して 資金使途を作る |
必要な資金を 先に積み上げて、 足りない分を 借りる |
この項目でもっとも多い差し戻しが左右の合計の不一致です。単純なミスですが、提出前に確認していないと見なされます。
そして最後の行がいちばん重要です。限度額から逆算して借入額を決め、それに合わせて資金使途を作った計画は、担当者が読めば分かります。質問をいくつか重ねれば根拠がないことが露見するためです。
9 事業の見通し(月平均)
創業当初と、1年後または軌道に乗った後の2時点について、売上高・売上原価・経費(人件費、家賃、支払利息、その他)・利益を書きます。
| 落ちる書き方 | 通る書き方 |
|---|---|
| 売上高を 1つの数字で 置く |
単価×件数に 分解して、 件数の根拠を書く |
| 創業当初から 黒字 |
立ち上がりの 赤字を正直に 示し、いつ 黒字化するかを 書く |
| 支払利息が 入っていない |
借入に対する 利息を経費に 入れる |
| 利益が 年間返済額に 届いていない |
返済原資が 返済額を 上回っている |
売上高の分解が、この項目の核心です。「月商300万円」と書くより、「客単価3,000円×1日40人×営業25日=300万円」と書くほうが、担当者は検証できます。検証できる数字は信用されます。
創業当初から黒字の計画は、かえって疑われます。立ち上がりに時間がかかるのは当然なので、赤字の期間を示したうえで、その間の資金が手当てされていることを見せるほうが強い計画です。
審査で見られている6つの軸
当社が融資支援で書類を点検するとき、50項目を6つのカテゴリに分けて見ています。公庫の審査基準そのものではありませんが、差し戻しや追加質問が起きた箇所を蓄積して作ったものです。
| カテゴリ | 項目数 | 主に見る点 |
|---|---|---|
| 事業の損益と 資金使途 |
15 | 売上の根拠、 資金使途の明細、 返済原資 |
| 返済計画と 資金繰り |
10 | 月次の現金の動き、 入金サイト、 返済の反映 |
| 代表者の経歴と 事業背景 |
10 | 同業経験、 数字の実績、 創業動機 |
| 自己資金 | 5 | 比率、 貯めてきた履歴、 出所の明確さ |
| 個人の借入と 信用情報 |
5 | カード残高、 滞納歴 |
| 申込みの 準備 |
5 | 補足資料、 事前相談、 売上実績 |
項目数の配分を見ると分かるとおり、半分が「損益と資金使途」「返済計画」に集中しています。つまり審査は、お金の流れの話が中心です。
文章の書き方に時間をかけるより、この2つのカテゴリを固めるほうが結果に効きます。
自己資金は総事業費の30%が目安
当社が基準にしているのは自己資金が総事業費の30%以上です。公庫が公表している要件ではありませんが、支援の現場ではこの水準を一つの目安にしています。
見られるのは比率だけではありません。その自己資金をどう貯めたかも確認されます。
- 評価されやすい自己資金
- 毎月コツコツ積み立てた履歴が通帳に残っているもの。計画性の証拠になります。
- 説明が必要な自己資金
- 直前に大きく入金されたもの。出所を説明できないと、見せ金と疑われます。
- 自己資金に数えにくいもの
- 借りてきたお金。親族からの借入は、8項目目の調達方法の別の行に書きます。
通帳は、申し込みの何ヶ月も前から効いてきます。直前に対策できる項目ではありません。
返済原資は「税引後利益+減価償却費」
返済に回せるお金は、利益そのものではありません。計算式は次のとおりです。
返済原資 = 税引後利益 + 減価償却費
減価償却費は、現金が出ていかない費用です。帳簿では経費ですが、手元の現金は減りません。そのぶん返済に回せます。
この返済原資が、年間返済額を上回っていることが前提になります。下回っている計画は、計算上返せません。当社ではこれを必須のチェック項目にしています。
さらに資金繰りの面では、毎月のキャッシュフローの余剰が、最低返済額の1.2倍あるかを確認します。ぴったりだと、売上が少し落ちただけで返済が苦しくなるためです。
借入の負担を具体的に考える材料は日本政策金融公庫のデメリット12選にまとめています。
最悪のケースを書いておく
当社が見ている項目のひとつに、売上が計画の半分だった場合でも事業が続くかがあります。
これを書いておくと、担当者の受け取り方が変わります。楽観的な計画しか持っていない人より、下振れを織り込んでいる人のほうが信頼されます。経営者としての姿勢が伝わるためです。
私自身、事業再生の現場で見てきたのは、計画どおりにいかなかったこと自体ではなく、いかなかったときに何をするかを決めていなかった会社が動けなくなる姿でした。
もっとも多い差し戻しの理由
当社のチェックで、もっとも厳しく見ているのが書類間の数値の不整合です。公庫で差し戻しが起きる理由として、最も多いためです。
| 照合する場所 | 合っているべきもの |
|---|---|
| 創業計画書と 月別収支計画書 |
売上高、経費、 利益の水準 |
| 創業計画書と 資金繰り表 |
借入金額、 据置期間 |
| すべての書類 | 会社名、 融資希望額 |
| 8項目目の 左右 |
必要な資金と 調達方法の合計 |
別々に作った書類を並べると、たいてい1か所はずれています。提出前に、全部の書類を並べて同じ数字を指差し確認してください。これだけで差し戻しのかなりの部分は防げます。
創業計画書だけでは足りない
創業計画書は提出書類の1つにすぎません。当社がお客さまの申込みを支援するときは、次の4点をそろえます。
| 書類 | 役割 |
|---|---|
| 創業計画書 | 公庫の指定様式。 事業の全体像 |
| 月別収支計画書 | 12ヶ月分の 売上・経費・利益。 立ち上がりが見える |
| 資金繰り表 | 月ごとの現金の動き。 返せるかが ここで決まる |
| 説明資料 | A3に収まらない 事業の説明。 任意だが効く |
月別収支計画書と資金繰り表は、公庫が様式を公開しています。創業計画書と同じダウンロードページにあります。
とくに資金繰り表は、作っていない方が多い書類です。損益の計画はあっても、現金がいつ足りなくなるかを月単位で見ていないと、据置期間の設定を誤ります。
説明資料は必須ではありません。ただし様式にも「参考となる資料がございましたら、併せてご提出ください」とあるとおり、A3の1枚で伝わらない事業ほど、補足資料の有無が効きます。当社では10枚から20枚程度を目安にしています。
月別収支計画書で見られること
創業計画書の9項目目は「月平均」です。平均では、立ち上がりの苦しさが消えてしまいます。月別収支計画書は、それを12ヶ月に展開した書類です。
| 落ちる書き方 | 通る書き方 |
|---|---|
| 1ヶ月目から 満額の売上 |
何ヶ月で 立ち上がるかの カーブを描く |
| 12ヶ月とも 同じ数字 |
季節性や 認知の広がりを 反映する |
| 創業計画書の 数字と 合っていない |
月平均が 創業計画書の 数字と一致する |
いちばん多いのが3つ目です。月別の12ヶ月を合計して12で割った数字が、創業計画書の「事業の見通し」と合っているかを必ず確認してください。
資金繰り表で見られること
損益と現金は別物です。利益が出ていても、入金が後なら現金は足りなくなります。資金繰り表は、その月ごとの残高を追う書類です。
- 入金のタイミングを反映しているか
- 5項目目に書いた「月末締め翌月末入金」といった条件を、そのまま資金繰り表に落とします。売上の月と入金の月がずれます。
- 返済が入っているか
- 借りたあとの毎月の返済額を、支出として入れます。据置期間中は利息だけが出ていきます。
- 残高がマイナスになる月はないか
- 1ヶ月でもマイナスになるなら、借入額か支出の計画を見直す必要があります。
- 余剰に厚みがあるか
- 当社では、毎月の現金の余剰が最低返済額の1.2倍あるかを確認しています。
据置期間を何ヶ月にするかは、この表を作ってから決める話です。先に据置期間を決めてしまうと、現金が尽きる月と返済開始がぶつかることがあります。
借入が資金繰りにどう効くかはデットファイナンスとはで、資金調達手段の全体像は資金調達とはで整理しています。
公庫のセルフチェックリストを使う
公庫自身が「創業計画書セルフチェックリスト」を公開しています。提出前に一度通してみる価値があります。
当社の50項目は、これに融資支援の現場で蓄積した観点を足したものです。まずは公式のチェックリストで基本を押さえ、そのうえで数字の整合を自分で確認するのが現実的な進め方になります。
面談で聞かれること
書類を出すと面談があります。聞かれるのは、書類に書いてあることの根拠です。新しい話は出てきません。
- 売上の根拠
- 「この件数はどう見積もりましたか」。単価と件数に分解していれば、そのまま答えられます。
- 自己資金の出所
- 「このお金はどうやって貯めましたか」。通帳の履歴で説明します。
- 資金使途の明細
- 「この設備はどこから買いますか」。見積書があれば一発です。
- うまくいかなかったとき
- 「計画どおりにいかない場合、どうしますか」。下振れの想定を書いてあれば答えられます。
- 経歴と事業のつながり
- 「なぜこの事業ができると考えていますか」。同業経験と数字の実績で答えます。
つまり面談対策とは、書類を根拠つきで書いておくことそのものです。書類が整っていれば、特別な準備は要りません。
逆に、書類に根拠のない数字が入っていると、面談でそこを突かれます。答えられない質問が続くと、計画を自分で作っていないと判断されます。
書き始める前にやること
いきなり様式を埋めようとすると、手が止まります。順番があります。
- 1.必要な資金を積み上げる
- 何にいくら要るかを、見積もりベースで並べます。借入希望額は最後に決まります。
- 2.売上を単価と件数に分解する
- 月商いくらではなく、何をいくらで何件売るかにします。
- 3.経費を洗い出す
- 家賃、人件費、仕入、支払利息。支払利息を忘れないでください。
- 4.返済原資を計算する
- 税引後利益+減価償却費が、年間返済額を上回るかを確認します。下回るなら借入額を見直します。
- 5.月ごとの現金の動きを引く
- 入金と支払のずれを入れて、現金が尽きる月がないかを見ます。
- 6.ここまでの数字を様式に転記する
- 計算が終わってから書けば、整合は自然に取れます。
様式を埋めるのは最後です。先に数字を固めてから転記すれば、左右の合計が合わないといったミスは起きません。
なお、どの融資制度で申し込むかは、書き始める前に当たりをつけておくほうがスムーズです。制度によって限度額と返済期間が違うので、8項目目の調達方法と9項目目の支払利息が変わります。候補はスタートアップが使える融資制度一覧で確認できます。
制度の選び方や必要書類の全体像は日本政策金融公庫の創業融資に、申し込める制度の一覧はスタートアップが使える融資制度一覧にまとめています。
書き上げた計画を第三者に見てもらいたい場合は、StartupListの融資相談で、提出前の点検から対応しています。相談は無料です。
よくある質問
Q.創業計画書は手書きでもいいですか?
A.構いません。ただしExcel版のほうが修正しやすく、数字の計算ミスも減ります。公庫のダウンロードページでPDFとExcelの両方が配布されています。
Q.どのくらい書けばいいですか?
A.欄が埋まる程度です。分量より、書いてある数字に根拠があるかが見られます。A3の1枚に収まらない説明は、別資料で補ってください。
Q.記入例をそのまま真似してもいいですか?
A.書きぶりの粒度を参考にするのは有効です。公庫は9業種分の記入例を公開しています。ただし数字は必ず自社のものにしてください。記入例の数字が残っていると、計画を自分で作っていないことが分かります。
Q.自己資金はいくら必要ですか?
A.制度上の一律の最低額は示されていません。当社では総事業費の30%を目安にしています。比率だけでなく、どう貯めたかの履歴も確認されます。
Q.自己資金がなくても申し込めますか?
A.申し込み自体はできます。ただし返済原資をどう作るかの説明が、そのぶん重くなります。自己資金が少ない場合は、借入額を抑えるか、売上の根拠をより具体的にする必要があります。
Q.創業計画書と事業計画書、両方出すのですか?
A.必須なのは創業計画書です。事業計画書は任意の添付資料になります。様式にも「参考となる資料がございましたら、併せてご提出ください」と書かれています。
Q.カードローンの残高は書かないとダメですか?
A.必ず書いてください。公庫は信用情報を確認できます。書いていない借入が後から出てくると、記載漏れではなく隠したと受け取られます。
Q.創業当初から黒字の計画を書くべきですか?
A.無理に黒字にする必要はありません。立ち上がりの赤字を示したうえで、その期間の資金が手当てされていることを見せるほうが、計画としては強くなります。
Q.売上の根拠はどう書けばいいですか?
A.単価×件数に分解します。飲食や小売なら客単価×来店数×営業日数、受注型なら受注単価×件数です。様式にも客単価や営業日数を書く欄があります。
Q.提出前に誰かに見てもらうべきですか?
A.自分で書いた計画は、自分では穴が見えません。とくに書類間の数値の不整合は、作った本人がいちばん気づきにくい部分です。公庫のセルフチェックリストを通すか、第三者に点検してもらうことをおすすめします。
書類の点検から、調達方法の設計まで相談できます
創業計画書で落ちるのは、文章が下手だからではありません。数字の根拠と整合性が足りないからです。そしてこれは、書き方を知っていれば誰でも直せます。
ただし、自分で書いた計画の穴は、自分では見えません。当社が50項目でチェックしている理由もそこにあります。順番に照合していくと、本人が気づいていないずれが毎回出てきます。
プロトスター株式会社は、起業家と投資家のマッチングサービス「StartupList」を運営し、エクイティでの調達、融資、M&Aによる売却まで含めて200件以上の資金調達を支援してきました。創業計画書の点検だけでなく、そもそもいくら必要で、融資と出資をどう組み合わせるかから一緒に整理します。着手金0円・完全成功報酬です。
※融資の可否・金額・条件は、公庫の審査により決定されます。この記事に記載した自己資金比率などの基準は、当社が融資支援の現場で用いている目安であり、公庫が公表している審査基準ではありません。
実際に調達した方のインタビューも公開しています。シード調達後に1,000万円の融資を受けた例はCONFLICTのインタビュー、創業直後に800万円の融資を受けた例はAlgoboaのインタビューでご覧いただけます。
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制度の条件・自己資金・審査の全体像は日本政策金融公庫の創業融資、使える制度の一覧はスタートアップが使える融資制度一覧、借りる前に知っておきたい注意点は日本政策金融公庫のデメリット12選にまとめています。あわせてご覧ください。



